クローバーゲーム
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クローバーゲーム
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⚠自己解釈/二次創作/雰囲気真似⚠
天高く登っていった龍は、一度、地へ落ちた。落とされた、と言ってもいいかもしれない。
あの日憧れた場所は、輝きも、誇りも、何もかもを失ってしまっていたけれど。色褪せてしまったのだとしても、しがみついてだって守りたい場所だったのだ。
乾青宗が幼馴染で親友たる九井一と共に黒龍を再起したのは、彼にとって黒龍というチームが特別であったからだ。
今よりずっと幼い時分、個人経営の小さなバイク屋にかわるがわる人がやってきては店主に笑って声をかけていく。たまに店に居座って店主——佐野真一郎にちょっかいをかけては怒られて、それでも笑いあっている姿は、乾にとって憧れそのものだった。
自分もあのような関係性を築きたい。できれば、黒龍というチームで。その一心で加入した八代目は、散々なものだったが。
黒川イザナには力があった。人を率いるカリスマ性もあった。ただし、真一郎のようなチームは作れなかった。結果、龍は地に落ちた。その後イザナは新しいチームを作るようだったが、乾は興味すら抱かなかった。彼にとって重要なのは喧嘩の強さやチームの大きさではなく、黒龍というチームであるかないか。それだけだっだのだ。
——だから再建した。どんなに名が落ちていようと、チームが廃れていようと。
親友である九井の力や金を利用してでも、どうしても成し遂げたかったのだ。
あの頃の黒龍を、もう一度。
乾を突き動かしていたのは、たったそれだけの感情だった。
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九井一は黒龍というチームに興味があったわけではない。喧嘩についても同様だ。
ただ、乾に誘われたから加入し、十代目と呼ばれる彼らが多少金になったから居着いていたにすぎない。
九井の世界にはいつだって、乾と、金。それしか存在しなかった。
それでも、乾に誘われたから柴を引き入れて黒龍を再建したとはいえ、いつまで過去の栄光に縋っているのだと思ったことがないわけではないのだ。
栄枯盛衰、諸行無常。
勝者が歴史となり、敗者は消えていくこの不良の世界で、たしかに黒龍というチームはブランドを確立していただろう。しかし、それももう、随分と前の話である。
黒き龍は、堕ちたのだ。
変わらないものなどこの世には存在しない。人は変わり、穢れ、朽ちていく。そして、そうでないものから失われていくのが世の理というもの。
——ああ全く、運命とはなんて残酷なのだろう。くそったれ。
一人胸中で舌をうち、荒んだところで仕事はやってきて、日々は通り過ぎていく。
そうして全ては、過去へと昇華されていくのだろう。
願わくば、乾は変わらないでくれと、九井はそうずっと思っている。
そんなことはありえないと、知っていて。
本当に変わらないでほしかったのは、一体、誰なのだろうか。
それは誰にも、九井にすら、分からないことである。
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『全く、本当にどうしてキミたちは素直になれないのかなぁ』
『……私がいたら、何か変わったかな。なんて。ううん、多分、変わらないね』
『だってそんなの、意味のないタラレバだから』
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orginal/off≫https://youtu.be/Tx70kaYeMnc
cast
🌳柴大寿:結衣華
🐶乾青宗:をむらいす
🈁九井一:しじみ
special thx
乾赤音:しじみ
🌳虚に浮かぶまま
次第に沈んで行くようだった
🈁癒えない傷跡に
鈍色を塗り重ねていた
🐶色褪せていったんだ
他人の価値を見下すその中で
🐲知ったような綺麗事に
まだ陶酔していた
🈁知っていた
見返りの無い正義とか
純真無垢な平等なんて
存在しない事
🐶当然だ
数がなけりゃただの用済みだ
狂った世間を怨んだって
所詮は負け犬だ
🌳嘘や裏切りが有触れた日々に
救いなんて無いはずだろう
🐲利益至上主義に塗れた
友情ごっことか
善人ぶった面をして
容易く棄てるんだろう
狡猾と服従が全ての
醜い道化とか
腐った反吐が出る程に
大概うんざりだったんだ
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