【M28】ねんねが子守りは【東京1】
利苑(りおん)
【M28】ねんねが子守りは【東京1】
- 0
- 0
- 0
八丈町三根(伊豆諸島八丈島)
伝承:奥山熊男/1915年生
採譜:尾原昭夫/1968年
収録:全集7
キー:譜面Dm/歌唱Cm
譜面テンポ:表記なし
◼️
ねんねん ねんねん ねんねしな
ねんねが子守りはつらいもの
親にゃ叱られ子にゃ泣かれ
ヘビロ給(た)ぼりょちゃ 嘘(おそ)ばなし
みつぎよつぎの みしゃだおりょ
ひきだしにようとで とじつけて
一夜(ひとよんべ)着るとはビービーと
二夜(ふたよんべ)着るとはジャージャーと
三夜(みよんべ)めには あてどなし
おったらでおよりやれ わが子さま
起きれば桶のはれ 叩き込も
寝なけりゃネンネンジョーに背負(しょ)わせろんて
ねんねん ねんねん ねんねしな
◼️
ヘビロ:ヘビラ。普段着
たぼろちゃ:給(た)もる。着物を貰えるなんて
おそばなし:嘘の話だった
みつぎよつぎの:継ぎはぎだらけの?
みしゃだおりょ:粗末な着物
ひきだしにようとで:着物を解いた糸で
とじつけて:?
ひとよんべ着るとは:一晩着ると
ビービーと:着物の有り様を示す擬音?
ふたよんべ着るとは:二晩着ると
みよんべめにはあてどなし:三晩着ると形がなくなる
おったらでおよりやれ:だまっておやすみ
桶のはれ:桶の中
ネンネンジョー:怖いもの。お化け、鬼など
◼️
東京は子守唄17曲、うち1曲が守り子唄。唯一の守り子唄は伊豆諸島八丈島の唄。旋律は江戸子守唄(陰旋)の転用、歌詞は方言が難解ですがやはり守り子の愚痴、とくに着物にかんする愚痴になります。テンポ指定なく歌唱は適当な速さですが、長い曲で半分も歌えませんでした。伊豆諸島のモリ制度(擬制的親子関係)については【02】【06】をご参照下さい。
◼️
曲数的にはまだまだ序盤ですが(28/174)冬濤的には東日本最大の難関と言いたくなる曲。実際ひどい歌唱&伴奏です(泣)。譜面キーDmですからシは無条件で半音下がります。なのに改めて♭の付いたシが出てきたり(手前にナチュラル記号の付いたシはありません)#でも♭でもない矢印↑が音符に付いていたり(#気味に音が上がる?)音符がオタマジャクシでなく菱形◆になっていたり……。また歌詞にはカッコ書きで(オナー)(ナヨウ)といった合いの手?が付いていて、これもどう歌えばよいのか不明。残念ながらこの譜面、冬濤レベルでは再現不可能です。とりあえず歌ってみましたが原曲と全く違っていたら申し訳ありません。なお【M12】でふれましたが、陰音階と陽音階を明確に区別するのはドレミに縛られた現代感覚。守り子たちにはシでも♭シでも大した違いはなかったと思います。歌詞の注は全集の他に『伊豆諸島のわらべ唄』(野口啓吉/第一書房)を参考にさせていただきました。
コメント
まだコメントがありません