【M11】守り子なんて【福島3】
真弓(まゆみ)
【M11】守り子なんて【福島3】
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伊達郡保原(ほばら)町
伝承:石神トシ/1925年生
採譜:懸田弘訓/1979年
収録:全集4下
キー:C
譜面テンポ:♩=68
◼️
守り子なんて楽(らぐ)なようで
ひどいもんだでな
泣げばいじめだなんて
言(ず)われんべしな
しょんべんで濡れれば
川(かー)でつっぺしたなんて
言(ず)われんべしな
守り子なんて楽なようで
ひどいもんだでな
眠れば寝首ったなんて
言(ず)われんべしな
家(ぜぇ)さ帰れば
まだ早えなんて
言(ず)われんべしな
ほんに子守りなんて
ひどいもんだでな
◼️
つっぺした:滑り転んだ
寝首った:首をひねった
◼️
この唄も旋律が独特……に聞こえたのですが、解説によると江戸子守唄の変形。言われてみるとなるほど陽施(メジャー音階)の江戸子守唄ですね。譜面は四拍子ですがリズムが難しく(どこが1拍目か分からなくなります)メトロノームに頼りました。歌詞は類例多数ですが方言の響きが守り子の実感をリアルに伝えています。石川県の守り子唄に「悪童(こわら)傷(いた)める/女郎(めら)せせる」という歌詞があります。赤子にケガさせてしまうのは守り子にとって大失策。「女郎させられる」というのは誇張でなく一つの事実(注)。そもそも奉公守り子自体が体のよい人身売買でした。親にしてみれば娘を女郎屋に売るのは可哀想だし世間体も悪い。奉公守り子なら責められないし躾もしてもらえる──「体のよい」とはそういう意味です。
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注:常に、ということではありません。背負った赤子の頭を不注意で木にぶつけ赤子が亡くなってしまった──という事例も読みましたが、この守り子が女郎屋に売られたとか、刑罰を課せられたという記録はないようです。ですが赤子に重いケガなどさせてしまった場合、そこで守り子を続けたり、別の奉公先をみつけるのは難しくなったことでしょう。そうなると次の奉公先は限られてしまう──といった状況は容易に推測できます。
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