アヤノの幸福理論
じん(自然の敵P)
アヤノの幸福理論
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本日12/7はmiSty所属の1年生☀️一伊於莉ちゃんのお誕生日です
浅黒い肌や方言が特徴な伊於莉ちゃん。
背は低くても誰よりもしっかりしたお母さん気質な部分は家庭環境にありました。 ソロサウンドアヤノの幸福理論とSSをお楽しみください。
高画質ver.
https://twitter.com/love_live_b/status/1468189794081845248?s=21
【SS】
『うわっ、ミンチ安っ!』
思わず声に出してしまったが今いるここが教室だということを思い出す。やってしまった…授業中に特売のチラシを盗み見したのがまずかったか 恐る恐る辺りを見渡すと友人、クラスメイト、挙句の果てに教師まで笑っていた。
一 伊於莉、15歳。 学生兼スクールアイドル兼、主婦。ロールスロイスやベンツでお出迎えされる同級生を後目に放課後は愛車(自転車)を爆走させる。
耳がちぎれそうなほど冷たい風の中、自転車を爆走させたどり着いた先はネオン煌めく激安スーパー王入。元々安い店だけど中でも今日は月に一度赤字覚悟の特売日だった。手にしたチラシにサインペンで赤くぐるぐると強調するように囲ってある "ミンチ 100g 50円" 成長期真っ只中の弟や食べ盛りの妹たちがいるためこれだけは逃せない。
『今日ん晩御飯は特大ハンバーグで決まりやなあ 特別に目玉焼きも乗せちゃろう 』
✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -
自転車のカゴに入り切らないほどパンパンに詰めた買い物袋を両手に下げ自転車を漕ぎ帰宅する。ストッパーを下ろす音で気づいたのかパタパタトタトタと小さな足音を二重に響かせて勢いよくガラッとドアを開けおかえり、と出迎える小さなふたつの影は…妹たちだった。
伊於莉と同じ柘榴色をした瞳を持つ少女たちは一直線に並ぶと瓜"三つ"だった。一緒に出かけると母親と間違われるくらいには似ている。その少女たちがこちらを見ては顔を見合わせてくすくすと笑う。何か企んでいることは容易に想像できた。
『何〜?なんかわるこつでもしたと?正直にゆわんと今日んご飯はお預けばい』
『何も無かよ ね!』
『 ね!』
『内緒たいね! 』
『ね!』
意味深なセリフを吐いてまた部屋の奥へとかけていった。
『あん二人どぎゃんしたんやろう まあ、よかや さ〜て、仕事すると』
いつも通り家事をこなしながらふと先程の妹たちの後ろ姿と"母親"というワードから昔のことを思い出した。
頭を撫でられる感覚と自分とは異なる白く弱々しい手。いつも何かしら管が繋がっている細い腕。
私はと言うと首に少し大きすぎる大人用の赤いマフラーをぐるぐる巻いて一生懸命誰かに話しかけている。顔は思い出せないその相手が今は亡き母だと推測するが確信は持てなかった。記憶上の母と父が酔った時によく話す母の人物像とは似ても似つかないのだ。
たくましく健康で病気とは縁遠い人と床に伏せている人物をイコールで結びつけるのは…とてもじゃないが難しい。
確かめようにも写真やアルバムは父の実家、仏壇は母の実家にあるため不可能である。だから知っていることはこの記憶と顔立ちや目の色が似ているということくらい。
ちなみに地黒と髪の色は父に似たらしい。
家族揃って浅黒い肌にくすんだ金髪。父以外の全員が同じ柘榴色の瞳を持っている。
そうこう考えているうちに二つ下の弟が帰ってきた。
『ただいま〜 美味そうな匂いしとるな てか姉ちゃんたいぎゃ張り切っとるな 今日はハンバーグと…コンソメスープと…』
『おかえり、たいぎゃ遅かったね 寄り道でもしとったと?今日はミンチがたいぎゃ安うって 特大ハンバーグにしたばい
サービスで目玉焼きも1人2個!』
『何もこぎゃん日まで自分で料理せんでん、俺何か作ろうて思うとったばってん…思うたより遅うなってしもうたけど…』
『こぎゃん日って〜?何拗ねとっと?ハンバーグん気分じゃなかった〜?ばってん食べてもらうけんね〜 せっかく愛情込めて作ったんやけん完食しなっせ』
『はあ〜…姉ちゃん…忘れとるな? 今日 12月7日ばい 誕生日やろう はい、プレゼント。 何買おうか迷うとったらこんな時間やったわ。』
『『あ〜 兄ちゃんバラした!!!内緒たい〜!!!いかんばい!!!』』
そう言われてはじめて今日が誕生日だということに気づく。すっかり忘れていた。あちゃ〜、と頭を抱えつつ色々な妄想をする。
例えば、あと30分もすれば父が5人じゃ食べきれない馬鹿みたいに大きなケーキを抱えて仕事から帰ってくるんだろうなぁとか、缶ビールを飲みながらまた母の昔話を涙ながらに語るんだろうなぁ、とか
弟から貰ったプレゼントが思春期男子にはなかなか入りにくい店のものですごく悩んだんだろうなぁとか、クラスの女の子についてきてもらって一緒にプレゼントを選ぶという名のプチデートをしてきたんだろうなぁ、とか
妹たちが手に持ってる小さなクラッカーとクレヨンで画用紙いっぱいに埋め尽くされた自分の似顔絵をみてサプライズを計画してくれていたんだろうなぁとか、絵に貼り付けられたカーネーションの折り紙をみて母の日と誕生日がごちゃ混ぜになってるんだろうなぁ、とか
誕生日だというのに特売日だからと颯爽と帰った自分に対して明日の朝、ぷりぷり怒るひなちゃまとそれを窘めるみーやんと別に普段と変わらないし大騒ぎとかしないから、とか言いつつ内心1番期待しているにゃーちゃんとそれを揶揄うやーちゃんの姿とか。
皆のそういう姿を想像して笑みを浮かべる自分の顔まで想像して、より一層幸せなひと時を噛み締めた。
【歌詞】
赤煉瓦の壁 小さな家の中で
ひそひそ話そう 秘密の作戦みたいに
連れて来られた 三人の真っ赤な目には
大人に隠していた 過去がある
怯えた顔で 「僕は化物だから」
私は告げる 「そんなことはないよ」って
「真っ赤な色は主人公の色だから、
怯えていなくても、良いんだよ」
面白い事 悩んでは
今日もお姉ちゃんぶって
「ほら、見ていて」 赤いマフラー巻き付けた
『秘密組織みたい!』
茜色、染めて、始めよう
小さな「ヒーローのフリ」だけど
「少しでも、また笑えたら」って
今日も家族でいよう
#アヤノの幸福理論 #じん #ラブライブブロッサム
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