遠距離恋愛中の彼がこちらへ来たいと言ったので、いつものようにセミダブルのホテルを予約してその日が来るのを待っていた。
新幹線の改札前。
少し微笑んだ彼に安心した。
そして二人は並んで歩き、手を繋ぎ。
美術館を訪れカフェに立ち寄り、街を散策して夜になり。
そして…
そして……
こんな穏やかな時間がいつまでも続けば良いのにと願っていたのに。
いつからだろう。
二人の願いは色褪せて、彼の心には私じゃない別の誰かがいた。
それを責めるでもなく知らないフリをしてきた私に代わって
"別れ"を告げた彼が目元を隠している。
新幹線、見送りのホーム。
私だけが一人取り残されていた。
「ドライフラワーが枯れた花だと思えたらどんなに良かっただろう」
多分、私じゃなくていいね
余裕のない二人だったし
気付けば喧嘩ばっかりしてさ
ごめんね
ずっと話そうと思ってた
きっと私たち合わないね
二人きりしかいない部屋でさ
貴方ばかり話していたよね
もしいつか何処かで会えたら
今日の事を笑ってくれるかな
理由もちゃんと話せないけれど
貴方が眠った後に泣くのは嫌
声も顔も不器用なとこも
全部全部 嫌いじゃないの
ドライフラワーみたい
君との日々も きっときっときっときっと
色褪せる
目を開ければそこは関ヶ原合戦場
先日の失恋を引きずって普段よりさらに口数の減った私は、対戦相手への挨拶もそこそこに立ち尽くす。
終わりが近いことは知っていたはずなのに、頭の中では未練がましくあの時こうしていれば…とかさっさと別れを切り出していればとか考えたところで意味の無い事がぐるぐる回っている。
こんな時、話を聞いてくれてもふもふの毛で癒してくれた孤月さまはいなくなってしまった。
どうか無事でいてほしい。
早く帰って来て。
焦りと怒りと悲しみと、訳の分からない胸のもやもやをぶつけるように私は歌い出した。
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