オリヴァー ・ノーツ【前編1】
台本 由季
オリヴァー ・ノーツ【前編1】
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🌙オリヴァー・ノーツ キャラストーリ【前編1】🌙
オリヴァー・ノーツ役
〔https://nana-music.com/users/8432450〕
前編①
荒れ果てた部屋には、血まみれの女性と、女性を抱き起こす青年が居る。
彼はオリヴァー・ノーツ。聡明で、才能に溢れ、美しい容姿を兼ね備える、神に創られし唯一無二の最高傑作、神童、天才と呼ばれている。
数刻前のことだ。授業を終え、帰宅していると嫌な予感がした彼は、友人の引き止める声に構わず、帰路を急ぐが、駆けつけた時には既に遅かった。
部屋は何者かに押し入られたのか、窓ガラスは割れ、家具は倒されている。部屋の中心に倒れている女性は、彼の母親で、既に息絶えだえだった。
母「ごめんね、オリヴァー。…見つかっちゃった」
数年前に亡くなった父の忘れ形見で、反乱分子に成りかねないという理由で母は襲われ、満身創痍だった。
応急処置をしようと抗ったのか彼の手は赤く染っており、女性から流れる血は止まらない
オリヴァー「……母さん」
母「……もう疲れちゃった。駄目な母親でごめんね」
オリヴァー「……まだ助かる。だからあまり喋らない方がいい」
処置を続けようとするオリヴァーの手を母は優しく、それでいて、やんわりと拒絶した
母「あなたはあの人に似て聡明で優しいから、何も心配してない。……嘘。あなたを置いて逝ってしまうこと、許してとは言わないわ、最期まであなたの成長する姿を見届けたかった……でもね、もう限界なの、あの人の元へ逝きたい…こんなこと頼むべきじゃないことは分かってる、でもお願い、母さんを楽にして…」
母は、赤く染っているナイフを力なく指差す
オリヴァー「……っ」
震える手でナイフを握るオリヴァー
母「ありがとう。私を救ってくれて」
母は美しく微笑んだ
鈍い音が部屋に響き渡る
その日、彼は初めて人を、実の母親を殺した
オリヴァーは、母の目から流れる涙を拭い、大事に抱き上げる
そして家に火をつけると、宛もなく歩き出した
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