ついにテストである。
第二回目のテスト、一時間目。学年中が緊張に包まれる。勉強してきた人、不安な人、早く時間が過ぎてほしい人、様々であるが皆の思いは一つであった。「再試の点数は取りませんように」
何故なら。一回目のテストは、学年の半分が再試の点数になってしまったからだ。55点以上という点数は一見取れそうなものの、実際は難しく涙を流す人が大半だったのである。
私は先週、体調を崩してしまいほとんど勉強出来なかった。昨日は胃腸の調子が悪く立つのもやっとだった。いや、言い訳である。体調崩す前から私は勉強をサボっていた。もう何も言えない。それでも今日は否応なしにでも来てしまう。どうしよう、どうしよう、テストの時間が来てしまう。仏のように悟りを開きたい。誰かの合格点という居場所を私が奪うくらいなら、いっそのこと再試の点数を取って、石ころのように、空気のように過ごしてしまおうか。もう、なにも出来ない。勉強出来なかったという誰にも言えない秘密は、あなた(テスト)に伝わることなく、刻々と時間は過ぎていった。
時間が経ち、テスト返却の日が来た。さあどうしよう。もう、なにも出来るはずもないのだが。
先生が言う。再試の人数は、○人である。そして、高らかに、学年中に宣言した。
「……さん、立花さん、……さん……は、再試です」
あたしの名前を、呼んでくれた。
コメント
2件
- さいころ(立花 翠)
- Lily.✿相変わらずめちゃめちゃ歌上手いし感動してたのに文章読んで腹抱えて笑っちゃったwww