【声劇台本】うつつ
○:●: BGM:お遊び 歌々音 台本:明烏
【声劇台本】うつつ
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●情けねえな
女郎のくせして、上客に嘘もつき通せねえとは
○役者風情の説教なぞ聞きとうありんせん
●あんな大物を袖にしちまうような間夫ってのは
一体どんな輩だい
○野暮なことおっせえすなあ
鏡ならあちらにござりんす
●なんでえ今日はやけに素直じゃねえか
だが、さっきの大旦那、ありゃ気の優しい男さ
おめえの身請け話だって…
○皆まで言いなんすな
ほら、あちきの気持ちならここに
●鼓動がいくらか速えようだが
○どんな大嘘つきも
こればかりはどうにもなりんせん
●俺あガキの時分は坊主相手に、
歳とりゃご婦人相手に身体売って芸を磨いてきたのさ
そんな手練手管は見飽いたぜ
興に乗せたきゃもうちっとうまくやんな
○酷い人、この音だけが唯一
紛れもないあちきの誠だってのに
●嘘で塗り固めたこの浮き世
勘違いでやり過ごそうって腹かい
○どこへ行こうと籠の鳥
泣こうが笑おうが、この世は地獄にかわりんせん
先が無いのなら夢を見んしょう
とはいえ、女郎ひとりろくに騙しきれぬような
へぼ役者ならば願い下げ
勘違える度胸も無くば、お帰りなんし
●そこまで言うなら面白え、その喧嘩
…今宵のおめえごと買ってやら
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吉原の遊女と歌舞伎役者。情と意地と、最後の夜。
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