伝えたいことしかないのに 何も声が出なくてごめんね
僕は毒虫になった そんなに興味もないと思うけどさ
時間が惜しいので今度は 手紙をしたためるとしようか
不甲斐ない一日を 今日も始発の便に乗って
見返すには歩くしかないのに 上手く足が出なくてごめんね
アベリアが咲いている 眼下の街を眺めている
窓の桟の酷く小さな羽虫を掬って押し潰した
初夏の風邪に靡いた 白花が今日も綺麗だった
教科書にさえ 載っていない心情は
今日が愛おしいようで 誰かがつまづいたって死んだふり
僕らははらはらはらはら 心を知って往く
今更ただただただただ 花を摘まんでいる
あなたはカラカラカラカラ 遠くを歩いて往く
震えた言葉で書くまま 紙が終わっていく
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