追憶の花にあの日の君をさがしている

キイリ：まのん アンヘル：向坂 美咲

君がくれる記憶は、モルヒネに似ていた。 ---------------------------------- ☆アンヘル (cv：向坂 美咲) 楽園《エデン》の少女。 記憶が花に具現化される体質をもつ。 『枯れない花も散らない花もないけれど…それでも、 いらない花だってなかったんだね』 ★キイリ・アーベルハイン(cv：まのん https://nana-music.com/users/8696689) 写真家の旅人。 いろんな記憶を残すために世界中を旅している。 「私と同じものを見て、きみがどんなことを思うのか。どんな顔をするのか。私は…そういうことが知りたい」 ----------【台本】---------- (シャッター音から少しして) ★「約束しようよ、アンヘル」 (音入り、01:21～) ☆『楽園《エデン》に咲く花はわたしの記憶。でも花は、いつかは枯れちゃうから』 ☆『写真は消えないの？』 ★「何もかも覚えていられる人なんていないよ。だから残すんだ。」 ☆『変な顔』 ★「やっと笑った。アンヘル、ずっと俯いてたから」 ☆「こんなわたしと仲良くしてくれて、ありがとう…でも」 (01:00～) ★｢アンヘル、なんで」 ☆『だって…痛いよ』 ★｢…それでも、きみの中で全部なかったことにしないでよ！｣ (言葉だけじゃ～) ☆『なくなっちゃうなら最初からいらないって思ってたんだ。でも本当は、大切だって思うのが怖かった』 (00:28～) ★たとえ時が来て忘れてしまっても ☆君が残してくれた記憶がわたしたちを繋いでくれる ★そうやって私たちは ☆何度だって ☆★出逢えるから (00:05～) ☆『キイリ、あのね。わたし───』 ---------------------------------- これは、記憶が繋ぐふたりの物語。 ---------------------------------- 花と共にその記憶を失うアンヘルは忘れる痛みを誰よりも知っていました。 その痛みは永遠に消えることはなくて、生きている限り何度も何度も経験していきます。 そうして彼女の目の前に現れるのは“写真は消えない記憶”だと言うキイリ。 たとえ忘れてしまっても、誰も覚えていなくてもそこにあったことを示す証が写真なのだと。 終わりが定められた記憶に意味などないと諦めたように生きるアンヘルに、キイリはふたりで過ごした時間を証明するため写真におさめ続けます。 何をしても、アンヘルの記憶が散る運命は変わらない。 けれど俯いてばかりだった彼女がそうして暮らす日々の中でキイリから貰ったたくさんの写真が、心の、そして記憶の拠り所となり、自分と向き合えるようになったのです。 まるでそれは痛みを和らげるモルヒネのよう。 失う世界で見つけた、ひとつの光。 -------------------------------- [使用音源] フリーBGM DOVA-SYNDROME様より 言花 written by 龍崎一 様 終わりと始まり written by sakunoken 様 SEは効果音ラボ様にてお借りしました。 ありがとうございました。 編集：壱花(向坂 美咲) -------------------------------- 年単位ぶりの自作台本になりますねぇ！ 花の寿命と共に記憶をなくしていく子と記憶を切り取って残す写真家の子だからこそ、対照的となってお互いの設定が映えてるんじゃないかなと思います。 まあ正直、物事は何も解決はしていないんです。 だって写真の事もいずれアンヘルは忘れてしまうから、キイリが彼女に与えてるものって悪く言えば「気休め」でしかないんです。でもそれってめちゃくちゃ必要なもので。彼女の心を支える大事なもの。 いやぁ…久しぶりに書くとめちゃくちゃ難しい！！ 何個か書きかけのものはあるけれどなかなかまとめきれなくて難航してました。なのでこのお話はなんとか形にできて良かったなあと思います。 本当は最初、動画付きで声劇台本をあげよう！と思ってたんですけど、キャラクターの姿が可視化してしまうと不特定多数に演じて下さい、とは自分では思えないなってことに気づいたんですよね。 声だけでその背景や表情を各々の感性で解釈して作り上げる声劇と違って、絵や映像を作者であるわたしがつけることで“わたしの思い描く”明確で断定的な物語の解釈が完成されてしまってこれでは誰でも自由に演じてねってスタンスには当てはまらないなと。 じゃあ動画はなしで台本のみで投稿しようかと思考を切り替えてみたはいいものの、そもそも映像ありきの台詞構成＋視界で魅せる為に空けている間もあったりしたから、声だけの台本としては物足りないんじゃないかなと感じて… よし！これはたったひとつの作品として世に出そう、と思って今回こういった形での投稿に至りました！！！！！ぱんぱかぱん！！！！！ キイリはまのんちゃんにお願いして演じてもらったんですけど、まーーーーわたしの要望が多いこと多いこと！ 台本と共にその台詞ひとつごとの状況説明、さらには台本にないその前後のシーン背景や解釈を長々と送り付けるという暴挙に出たのですが、こんな長ったらしいの読んでられねぇよ！！みたいな文句ひとつ言わず受け入れてくれて誠に感謝の極み(⸝⸝⸝ᵒ̴̶̷̥́ ⌑ ᵒ̴̶̷̣̥̀⸝⸝⸝) わたしの「こんな風に演じてほしい！」って声に本当にたくさん対応してくれて何度もお芝居を擦り合わせてくれて、忙しい中キイリと寄り添ってくれてありがとう…！ 思い描いていた以上に素晴らしいものに仕上がって、まのんちゃんにキイリを演じてもらえて本当に良かったなとひしひしと感じました！！ 最後には自分たちのクレジットとかもつけちゃおう！！！映画っぽく！！って感じのノリでそれっぽく監督()だとか製作委員会()だとか書いてみたりして非常に楽しかったです笑 ここまでで相当長い後書きになってしまっていることは承知の上で最後にひとつこだわりポイントをここに記しておきたいと思います！ 実は最終的にはキイリはまた旅を再開するんです。今まではまだ見ぬ世界を自分の記憶として写真に残すため。 でも今度はそれに加えて、楽園《エデン》から出ることの出来ないアンヘルにいろんな世界を見せるために。 キイリはたくさんの写真と共にまたアンヘルの元へ帰ってくると言って旅立ちます。 (記憶の花が楽園《エデン》でしか咲かないように、アンヘルもまた楽園《エデン》でしか生きられません) 記憶を失う明日に怯えて、なくしてしまうならいらないと得るもの全てに消極的になってしまっていたアンヘルをたくさん見てきたキイリが、楽園《エデン》から発つ際に交わした約束。 「これから先、きみの目に映る綺麗な世界をどうか拒まないで。好きになったものを後悔しないで」 「私はまたきみに会いに来るから、その時はとびきりの笑顔をみせて」 お見送りの際、少し涙ぐんだ不器用な笑顔を向けるアンヘルにキイリは笑ってそんな約束を持ち掛けます。 アンヘルにとってはこれが自分の知るキイリとのお別れ。またキイリがここに戻ってくる頃にはきっと今までの記憶の花は枯れてしまう。 それをふたりは分かっているけれど、それでも約束を交わすのです。 今までのアンヘルだったら約束なんてものは絶対にしませんでした。その約束すら覚えていられる確信がないから。 でもキイリのおかげで自分と向き合うことができるようになったアンヘルはその約束に大きく頷きます。 そしてキイリが出発したあと、ひとり楽園《エデン》に佇むアンヘルの手元にはキイリからもらった、ふたりの姿が映った写真。 これがタイトル前のアンヘルの後ろ姿のイラストのシーンになります。 なので実は冒頭のキイリの約束の台詞とラストの絵は時系列的に繋がっています。 この予告の始まりと終わり。 この2人の別れもまた、始まりと終わり。 そこをさりげなくリンクさせた構成になってます！ こだわりポイントなのです！！！！ そして終わればまた始まる。何度だって。 それでね。冒頭から中盤まででお借りしているBGMのタイトル、なんと「終わりと始まり」なんですよ。これね、なんとたまたまなんです！！！！！！(今書いてて気が付いた)わたしもびっくりしちゃった！！！！！！！お借りしているお歌の歌詞と物語をシンクロする部分を作るようには意識してましたが、そこは意図してなかった！！運命すぎる…ガッツポーズが止まらない(｡•̀ᴗ-)و ̑̑✧ ああ〜〜やっぱり創作は楽しい！！！発想は無限大だし何でもできる。書いて描いて音源も動画も編集して演じたり演じてもらったり…めちゃくちゃやりがいあったし、自分の出来ることをめいっぱい詰め込めて満足！！！ それもこれも、キイリ役を引き受けてくれたまのんちゃんの協力があってこそ完成させることができたので本当に感謝でいっぱいです！本当にありがとう！！自作台本を頼んで演じてもらうっていうのも実は初めてだったりして、そういう所も含めて今回わたしにとっていろんな新しい挑戦ができたかなと思いますʕ•̫͡•ʕ*̫͡*ʕ•͓͡•ʔ ここまで読んでくださって、聴いてくださって、見てくださってありがとうございました！！！！！！ --------------------------------- p.s.これは余談なのですが、アンヘルは自分の名前もとうに忘れてしまっているので“アンヘル”というのはキイリがつけた名前だったりします。なんでも第一印象から来ているのだとか。天使という意味があるそうですよ໒꒱· ﾟ -------------------------------- #声劇 #二人声劇 #掛け合い #声劇台本 #2人声劇 #予告風声劇 #壱花の台本