コネクト
₊*̥𝙰𝚜𝚝𝚛𝚊𝚎𝚊☪︎₊*˚
コネクト
- 177
- 16
- 0
__𝕀 𝕨𝕚𝕝𝕝 𝕟𝕖𝕧𝕖𝕣 𝕗𝕠𝕣𝕘𝕖𝕥 𝕥𝕙𝕖 𝕡𝕣𝕠𝕞𝕚𝕤𝕖 𝕀 𝕞𝕒𝕕𝕖.✩₊*˚
₊*̥┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈☪︎₊*˚
祈鈴の一日は、今日も憂鬱で最低だ。
今にも倒れそうな酷い眩暈に必死に耐えながら、なんとか授業を乗り切り――保健室に行くことも出来たが、そんなことをすれば目立つに決まっているので絶対に嫌だった――誰も祈鈴に話しかけることなく、逃げるように家に帰る。
どうして、こうなってしまったんだろう。浮かぶのはそれだけだった。
もし、星巫女に選ばれたのが、クラスの中心に君臨する彼女なら。きっとこんな扱いは受けていないはずだ。
祈鈴なんかが不釣り合いにも星巫女になるから。だから、こんなことになってしまったんだ。
中央政府を恨み、神様を恨み、世界を恨んだ。これで何度目だろうか。
家に帰ったところですることもなく。椅子に腰掛け、何となしにスマホの画面を見つめていると。
ふわり、と慣れた浮遊感がして。
目を開けると、そこはもう星天界だった。
最悪の更新。星天界を訪れて儀式をする度に、体調が悪化している気がする。
せめて他の星巫女とは会いませんように。少なくとも怖い人達には会いませんように。何を考えているのか、祈鈴ですら読めない人達には会いませんように。
強くそう願って、大広間――最初の召喚の時に訪れた場所――へと続く扉を開けると。
そこには、一人の少女がいた。
薄い緑色の髪に、幼い顔立ち。
真剣な面持ちで、紙に何かを描いている。
そこにいたのは、魚座の星巫女――咲羽だった。
祈鈴が星天界に来たことに気付いていないのか、顔を上げずに、黒い鉛筆一本だけを使って何かを描き続けている。
「咲羽ちゃん、久しぶり」
そこにいたのが咲羽だけだったことに心底安堵し、今まで見たことのないような真剣さを見せる彼女に戸惑いながらもそう声をかけた。
声が届いたことで祈鈴が来ていることに気付いたのだろう、咲羽が顔を上げる。
「祈鈴さんっ……!お久しぶりです!」
花が咲いたような笑顔を浮かべて、咲羽はそう告げた。無邪気な幼い笑顔だった。
何を描いてるんだろう、と祈鈴にしては珍しく――基本的に祈鈴は誰が何をしていようが興味を持たない――紙を覗き込むと。
そこには、一色で描かれた、翼の生えた少女が微笑んでいた。
これに似た絵を、祈鈴は見たことがあった。
Noirale໒꒱°*。――もとい、咲羽のアップしている動画に添えられたイラストと、同じ絵柄だった。
そのことに驚いて、気付けば言葉を発していた。
「……いつもの動画のイラストも、咲羽ちゃんが自分で描いてるの?」
そう尋ねてから、すぐに後悔した。咲羽は祈鈴に絵を見せようとしてくれていたわけではない。
祈鈴が興味を持って、勝手に覗き込んだだけなのに。変に思われなかっただろうか。気を害さなかっただろうか。
そんな祈鈴の不安とは裏腹に、咲羽は嬉しそうにはい! と言って笑った。
「私、色が分からないから、全部同じ色で塗ることしか出来ないんですけど……でも、絵を描くのも、歌うのも、好きなんです…!」
はにかみながらそう告げた咲羽は、本当に幸せそうで。
自分の好きなことがあって、その好きなことに自信を持っていて、それが幸せで。
眩しいな、と思った。
何もない祈鈴には無理だ、なんて思っていたけれど。
もしかしたら、祈鈴にも何か出来るかもしれない。柄にもなくそんなことを考えてしまうくらいに、咲羽の顔は輝いていた。
そういえば、祈鈴のために作ってくれる曲は「誰かの背中を押す歌」だって言ってたっけ。
その曲が出来たら、祈鈴も一歩を踏み出せるのではないか。
確証なんてないし、自分にはそんなの似合わないと思っているけれど。
だけど、少しだけ。
少しだけ、自分を信じてみてもいいかな、なんて。
そんなことを思えた。
「あ、あの……私、祈鈴さんにお願いしたいことがあって……」
恐る恐る、といった様子で咲羽が切り出した。
どうしたの?と訊ねても、言葉は返ってこない。
悩んでいるのか、迷っているのか。しばらく考えこむ素振りを見せた咲羽は、自分の気持ちをまとめるかのように小さく首を横に振って。
「やっぱり、次に会った時にします…!」
なんて言葉を告げた。
咲羽が、祈鈴にお願いしたいこと。見当もつかないけれど――咲羽の願いなら、叶えたいと思った。
「それじゃあ、次に会った時に教えてね」
そう言って、祈鈴は微笑んだ。いつもよりも真っ直ぐに、自然に笑えた気がした。
「はい!……あ、そういえば!お母さんに祈鈴さんの話をしたら、是非会ってお礼を言いたい、って言ってて……」
私、学校には友達がいませんから…と、寂しそうに咲羽は告げた。
現実世界で会いたい、ということらしい。そんな申し出をされるだなんて、思ってもいなかった。
「うん、私は大丈夫。電話番号と住所、教えればいいかな?」
祈鈴の方から積極的に行動する、なんて。まるで自分ではないみたいだった。
祈鈴は、嬉しかったのだ。
何も持っていない自分が、認められることが。祈鈴はそこにいていいんだ、と肯定されることが。
存在証明の手段を失った祈鈴を、「友達」だと呼んでくれたことが。
スマホの電話番号と家の住所を小さな紙に書き、咲羽に渡した。
咲羽からも、メモ用紙を手渡される。
聞いたこともない地名だった。きっと住んでいる場所も遠いのだろう。
だけど、その見慣れない短い文字列が、なぜだか輝いて見えた。
𝕋𝕠 𝕓𝕖 ℂ𝕠𝕟𝕥𝕚𝕟𝕦𝕖𝕕...
₊*̥┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈☪︎₊*˚
✯𝕃𝕪𝕣𝕚𝕔✯
🎐交わした約束忘れないよ
🎐☘️目を閉じ確かめる
🌙️押し寄せた闇 振り払って進むよ
❄️いつになったらなくした未来を
🎈私ここでまた見ることできるの?
🔗溢れ出した不安の影を
⛓何度でも裂いてこの世界歩んでこう
☘️とめどなく刻まれた 時は今始まり告げ
🎐変わらない思いをのせ
🌙閉ざされた扉開けよう
🌙目覚めた心は走り出した未来を描くため
🎈❄️難しい道で立ち止まっても 空は
🌙きれいな青さでいつも待っててくれる
だから怖くない
もうなにがあっても挫けない
✯ℂ𝕒𝕤𝕥✯
♓︎Pisces #星巫女_咲羽
🎐咲羽(cv.おとの。)
https://nana-music.com/users/7930665
♈︎Aries #星巫女_祈鈴
☘️祈鈴(cv.朔)
https://nana-music.com/users/2793950
♊︎Gemini #星巫女_璃星 #星巫女_璃月
⛓璃星/🔗璃月(cv.唄見つきの)
https://nana-music.com/users/1235847
♑︎Capricorn #星巫女_灯莉
🎈灯莉(cv.瑠莉)
https://nana-music.com/users/6276530
♒︎Aquarius #星巫女_雪涙
❄️雪涙(cv.海咲)
https://nana-music.com/users/579307
₊*̥素敵な伴奏をありがとうございました☪︎₊*˚
➴暁ユウ様
https://nana-music.com/sounds/05829bac
✯𝕚𝕝𝕝𝕦𝕤𝕥𝕣𝕒𝕥𝕚𝕠𝕟✯
Nene様 @Neeeee_00000
✯𝕋𝕒𝕘✯
#Astraea #星巫女
コメント
まだコメントがありません