声劇台本「透花」
あなたのお名前
声劇台本「透花」
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宝石の中で呼吸する透明なふたり
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君と宝石の中で息を潜め
涙に口付け 果てる瞬間まで
愛おしいと悟った身を
やっと 罪深いものだと気付いた
「笑ってよ、透花」
君がこの世界を辿る前のお話
何かに怯えているかの様に
君の殻はよく震えていた
僕の手に引っ付いて離れなかった
小指を握る赤ん坊の様に
「君は変な子だな」
君から僕は見えていないだろう
何に縋っているのかさえ分からないのに
それでも健気に動く君は
「…僕もきっと変なんだろうな」
愛おしくてたまらなかった
純な君に揺らいだ 僕の心はあたたかくて
「僕には甘すぎたんだ」
淡く輝く瞳に 僕は甘え
希望を抱き 君を透かした
もう一度だけ僕のことを笑ってくれたら
「君が僕のすべてだ」
皮膚の繊維が解けていくような熱を感じた
亡骸に寄り添い 瞼を閉じる
僕と君の意味を愛と呼んで
氷の中で僕達はひとつの花になった
それは花氷 生まれ変わりの最期の結晶
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透花…とうか
縋って…すがって
繊維…せんい
亡骸…なきがら
瞼…まぶた
花氷…かひょう
みわたか様の素敵な伴奏を使用させて頂きました。
読まれる際は台本と伴奏に拍手をお願い致します。
花氷という台本の続きの物語
「花氷」https://nana-music.com/sounds/05ecab82
2つが1つになることを愛と呼び、それを繰りかえすことで人は進化している。だが花氷から産まれた少女と彼女を愛した男は愛のかたちを残す権利と運命を得た。未来を拒んで奪われない今を遺すこと、それがふたりにとっての幸せなのか、それとも。
冬紀コウの台本
https://nana-music.com/playlists/3566561
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