【声劇台本】四月馬鹿である【朗読】

台本:ばね　　読んだ人:

世界で一番浮き足立った日であると言えるだろう。 ＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃ 四月一日。俗にいうエイプリルフールだ。 そのまま四月馬鹿、と直訳的にいう者もいるし フランスでは「四月の魚」なんて洒落た言い回しをするらしい。 兎にも角にも、今日という日は誰も彼もが嘘をついて良いという よくよく考えれば誰の後ろ盾があるわけでもない風潮に踊らされて 老若男女問わず血眼になって「うまい嘘」を吐こうと躍起になっているわけだ。 考えてみれば、別に「嘘を吐いて良い」というだけであって 「嘘を吐かなければいけない」わけではないのに 何をそんな虚言の創出に血道を上げる必要があるというのか。 人間誰しも、普段は禁じられていることを 「やってもいいよ」と言われると 「ならばこの機会に」とばかりに張り切ってしまうという 道徳的感情の揺り返しみたいな者なのであろうか。 だとすれば、それは喜ばしいことであると私は思う。 なぜなら、世のほとんどの人が「通常、嘘はいけないものだ」と自分を律しているという反証になるからだ。 その様は、Γ-GTP(がんまじーてぃーぴー)の値を気にして禁酒していたお父さんが 父の日に息子と一杯引っ掛けるような、そんな解放の喜びを彷彿とさせる。 しかし困ったことに私は、普段から冗談ばかりを口にしている不心得者だ。 今日ばかりは、私に嘘をつく権利はないだろう。 ごろりと寝転んで、スマホの中を駆け巡る他愛もない嘘と その嘘を吐いた人に思いを馳せる。 エイプリルフールである。 ＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃＃ #声劇 #朗読 #セリフ #エイプリルフール #BGM #ピアノ #楽しいBGM