留守中のハプニング【メアリ】
nazna
留守中のハプニング【メアリ】
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長らくの片想いは満天の星空の下で結ばれた。その証がメアリの両耳に煌めいていた。彼とまた次のデートの約束をしながらサヨナラし、踊りながら家路につく。蝶の髪飾りまでまるで幸せに羽ばたくかのようだった。古くて小さな、素敵な私の家…ただいま!
「ははぁ…間抜けな顔をした小娘だ事…。お前に帰る家なぞないよ?」
甲高く耳障りな声が頭上から聞こえた。メアリは即座に顔を上げると、ギャギャギャ!と酷い声を上げて三羽の姑獲鳥が飛び立った。一羽だけ相変わらず紅葉するサギリの木にふてぶてしく留まっている。鳥の体に鋭い目つきの女の顔が付いた化け物である普通の姑獲鳥と違い、そいつは胸元までヒューマノイドの姿の大きな姑獲鳥だった。体も大きく知恵もあるようで、人語を繰り出しメアリを牽制する。
「はぁぁ…私の娘たちが見つけた香ノ木…これは母であるこの私のもんだよ、醜い小娘。娘たちを追いやったのに、お前はここから暫く姿を消した。もうここは渡さない。話は終わりだ。消えなければ殺す…」
大姑獲鳥の重さで、サギリの木は痛々しい悲鳴をメキメキとあげている。メアリは家まで送ろうとしたコハクの言葉を断って良かったと思った。愛おしそうにイヤリングを撫でると、荷物を投げ捨て臨戦態勢に入った。大きな鳥の前に、可憐な蝶が羽を広げる…。
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成功率は1/3です。選曲、アレンジ等の歌唱選択により、成功率が変わります。
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