【18】ようかい
奄海(あまみ)
【18】ようかい
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種子島(鹿児島)。久保けんお採譜。郷土文化協会『篠笛日本名曲集3』(尾原昭夫編)並びに音楽之友社『南日本民謠曲集』(久保けんお著)より。五音構成【レファソラド】譜面キー【Dm】歌唱キー【Am】歌唱は一番のみ。
■歌詞
ようかい ようかい ようかいよ
よっと 此の子が 寝たなろば
息を ほしと しょうものば
ようかい ようかい ようかいよ
ようかい:よしよし(よかよか)
よっと:しずかに
ほしと:ホッと
御前(おぜ)が父(てっ)ちょは何処(どけ)いたか
あれは屋久島かま売りに
かまは売れたかまだじゃろか
二年たってもまだ在(わ)せぬ
三年たってもまだ在せぬ
三年三月に状が来た
椎名渉子氏(名古屋市立大学)によれば「ようかい」も「よしよし(よかよか)」系のあやし言葉。氏の論文「子守歌唱におけるあやし表現の形態的・構造的特徴と地域差」からは多くを学ばせていただきました。ネット上PDFで閲覧可能です。
この唄で一番知りたいのは三行目の意味。「いきをほしとしょうものば」。誤読でしょうが、私にはこれが「息を星にするんだけどなあ」という、守り子のため息に聴こえて、赤子を背負って星空見上げる姿が重なってしまう……そんな歌詞でした。実際の赤子の世話は、親の畑仕事中など、基本昼間だったと思いますが。数ある守り子唄のなかでも、心にしみる名曲、だと思います。
■追記(2020/10/27)
この唄が採譜された『南日本民謡曲集』(久保けんお著/音楽之友社/1960年発行)の楽曲解説ページに「よっと(しずかに)」「ほしと(ホッと)」という付記がありました。この子がしずかに寝てくれたら一息つけるんだけど──という意味になります。この貴重な民謡集は20年近く前に古書店で入手したのですが、私のズボラで長いこと行方不明でした。今回家中ひっくり返してやっと出て来ました。私の解釈はやはり誤読でしたが、この分野では著名な久保けんお氏もこの歌は好きだったようで、こんな文章を書かれていました。「詩は内地のいたる所で散見する形式だが第一の曲(冬濤が歌った一番)など、私は天下の逸品だと思っている」(p85)。採譜キーはCmでした。
■奄海(あまみ)
【05】参照
■歌唱コード
(Am)ようかい(C)よう(Am)かい(F)ようかい(C)よ
(F)よ(Em)っと(C)このこが(Em)ねたなろ(G)ば
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