D91 燭台切光忠
紫苑本丸
D91 燭台切光忠
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#紫苑本丸
酷く身体が傷んだ…。
切っても切っても折れてしまわない彼らに僕が折れてしまうのか。
朦朧とする意識の中、横目に小夜ちゃんと今剣(いまつる)ちゃんを見る。
「だ…いじょうぶ?」
声にならない声を…出して安否を確認した。
でも、返事はなかった。
僕が二人をこの呼び方で呼んだときに少し恥ずかしがりながら照れている姿はもう…ない。
「あ…る……。」
最後に主の笑顔が見たかった…こうなるはずじゃなかったのに。
「…ん…?」
身体がふわっと宙に浮いた。
刀でも、天国なんてあるのだろうかなんてどうでもいいことを考える。
?「…み…ただ!!」
次に目を開くと本丸のみんなが多くの傷を作り横たわっていた。
最後はひとりぼっちじゃなくてよかった。
みんなが側にいる。
「燭台切光忠…!!!」
これは天国か、…主が泣きじゃくりながら僕の名前を呼んでいる。
涙を拭ってあげたいのに腕が動かない、抱き締めてあげたいのに身体が動かない。
「…だい……す…き。」
辛いこともあったけれどこの本丸が大好きだった。
最後に、主の顔がみられてよかった。
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