快感
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快感
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『快感』
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冬
ランシューの紐をギュッと結ぶ。
そして走り出す。
朝の5時半。
まだ人は寝静まり、夜明け前の空に星は輝く。
暗闇の中、ただ聞こえるのは、自分の足音と息遣い。
突き刺すような寒さが喉をいったりきたりしている。
息は白い。
走る。
身体がじんわりと熱を帯び始める。
景色の流れに加速がかかる。
走る。
顔にあたる冷たい風ですら心地良い。
走る。
息があがる。
それでもなお、スピードは上がってゆく。
走る。
夜が明け、太陽が汗ばんだ顔を照らしだす。
さらにスピードが上がる。
走る。
激しい呼吸とどこまでも行けそうなそんな感覚。
走る。
エネルギー切れ。
ゆっくりと脚を止める。
流れていた景色も急に止まる。
すっかり日は登って、音も日常を取り戻す。
汗だくの火照った身体を、冷たい空気がさましてゆく。
足音は消えたのに耳に響く、忙しい心臓の音と荒れた息。
それらを聴きながら、考える。
さあ。明日はどこまでいけるか。
走る。
それは私の快感。
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ちぃと申します。台本第二弾。
これは私自身のお話。
走ることは私の生きる力です。
冬はとても寒いけれど、喉を通る冷たい息が心地よい。
みわたかさんからとても素敵な音源をお借りしました。
いつも聴き惚れています。ありがとうございます。
https://nana-music.com/sounds/053f3e0f
#声劇 #一人声劇 #ちぃ #一人朗読
コメント
2件
- ましゅまろん🕊🐻❄️( ˙꒳˙ ) 𓏸𓈒𓂃お借りします( ˙꒳˙ )🎶
- 寄瀬 翠ㅇ(*☆*)お借りしましたっっ