私の声は貴方と共に
Official髭男dism
私の声は貴方と共に
- 27
- 0
- 0
お茶を啜りながら、今年を振り返る。主要都市アヴァロンの軍師として働き、特別視される扱いとお飾りの職務から逃げるように訪れたキリエ…。新たなスタート!!と意気込んだが、それは勇み足だった。忘れてはならないものを一つ一つ大切に拾いあげる…そんな1年だった。憑神、家族、仲間…自分自身。私は、大切な時間を歩んで今の私なんだ。今も考えると涙が溢れそう。堪えるためにお茶を一気に飲み干す。
「あちち…」
本当は兄や父の様に立派な軍人でもないし、母の様にたおやかで強い訳でもない。うっかりお茶を飲み干して、舌を火傷する、そんなドジな自分。…太陽が眩しい。
「さて、本当のスタートはこれからだ!」
うっかり大声を出して、周りに不思議そうに見られた。みりんはコソコソその場を離れる。
そもそも軍師の地位を捨てて、この知らぬ土地で自分のありのままの姿を見つける為に訪れた。回り道をしたけれど、新たな年明け…今一度あの時の気持ちに戻って、進みたい。そう考えていくとワクワクして歩みが早くなる。あぁ、あと少しで門へつく。
「おはようございます!」
「おー、おはよう!みりん。聞いたぞ、門の前になんかの種を撒いたそうだな?だいぶ育ってるじゃないか。あれなんの種だ?」
「ブルースターです。もっと春が進んだらついに花が咲きます」
凛々しい笑顔で答えて、颯爽と出ていく。
「…はー…戦場の青薔薇ね。そりゃファンもできるわな」
先輩は新聞を開いてヘラヘラと笑った。
門番をしていると、休みなのか子供たちが挨拶をする。
「おはよー!みりんー!」
「おはようございます。門番さん」
「よぅ!子分!!」
思い思いの挨拶。中には
「あ!先生。おはようございます!」
「おはようございます!先生。次の教室はいつやるんですか?」
剣術教室の生徒も挨拶をする。
「おはようございます。みりんさん」
「あらぁ、朝からご苦労さんね!」
「よー!軍師殿!今日は酒場に顔出せよ?」
街の人々も挨拶。全ての挨拶にみりんも答える。重なる声、重なる笑顔。この街の門番としてもうすっかり根付いている。あのブルースターのように。
もっと春が進んだらついに花が咲く…。準備も気力も気持ちも万全。さて、どう暴れて、どんな花を咲かそうか…。みりんはふふっと笑った。
‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇‧✦‧✧̣̥̇
新年へ本格始動を決意しました。
コメント
まだコメントがありません