顔を見せておくれ【みりん】
くー
顔を見せておくれ【みりん】
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憑神が見せた夢のせいか、最近やたらと家族が気になっていたそんな矢先、アヴァロンの家族より手紙が届いた。
「兄が会いたがっている」
まさか足が悪化した…?不安に駆られたみりんは即座に飛龍便に乗り、アヴァロンへ向かった。
「兄様!!ご無事ですか!?」
「は!は!は!かかりおうたな、みりんよ!兄の事となれば飛んでくると思ったわぁ!」
玄関を開けると、仁王立ちで構える父とその奥で頭を抱えた兄がいた。
「父様でなければ、即刻切り捨てておりました」
「元副総帥のワシを切るなぞ、重罪だぞ!」
「…その前に親殺しで重罪だよ、父様…」
車椅子に乗った兄が冷静に突っ込む。
「ごめんよ、みりん。騙すような事をしてしまって。止めたんだけど…父様、あの性格だろ?聞かなくてね…」
申し訳なさそうに、兄は車椅子で出迎えた。
「いえ、兄様に何事も無くて…本当に良かった…あ、母様!これはキリエの土産です。さ!お茶にしましょう」
「………三つ編みの幼子だった頃は良かった…家族のアイドルであったみりんが…軍に入ってからというもの、父に冷たくなった…昔は父様!父様!と、よく肩車をせがんでおったのに…!!」
大人になって、父の小面倒くささに気付くようになっただけだと心で呟き、みりんは白い目を父に向けた。
キリエの土産で家族団欒のティータイムを過ごしたみりんの一家は、わざわざ兄をダシにしてまでみりんを呼び出した真相を語り出した。
「みりんよ、お前もそろそろ年頃だ。軍師の仕事が忙しいと配慮してきたが、その任ももう降りたのだろ?…お前は美しい!ワシの宝だ。戦場の蒼き薔薇の異名まであるではないか!そのまま独り身など勿体ない!」
伝説の軍神の次は蒼き薔薇…頑張って戦ってるだけなのに、次々異名が増えるのは何なんだ!みりんはうっかりお茶を吹き出しそうになった。
「丁度、緑龍系のドラコン族の素敵な男性が御相手を探しているの…どうかしら?お母さん、いい話だと思うわ」
突然の話にドギマギしていると、兄が重い口を開いた。
「みりん…僕が足を悪くしてから、僕の代わりに夢を犠牲にして軍に入って、軍師になるまで頑張ってくれた…嬉しい。けど…申し訳なかったんだ。僕の人生までみりんに背負わせてしまったって。でも、もうみりんはアヴァロンの軍師じゃない。どうか、今度は自分自身の幸せの為に生きて欲しいんだ…」
いつも優しく微笑む兄が、深い懺悔の表情を浮かべていた。
自分の人生か…確かに色恋沙汰も避け、仕事に邁進していた。キリエに来てから世界も広がり、沢山の人とも関わってきた。これから自分らしく生きるのはありなのかもしれない。…けれど…渡された相手の写真を前に、深く考え込んだ。
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相手に
「会う」
「会わない」
を選択し、キリエに帰るまでの間を家族と過ごしてください。
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