知らない箱が
DEPAPEPE
知らない箱が
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雪がチラつくようになってから、もうキリエは立派に冬景色。すっかり秋の気配が消えて、霜柱が所々の土を掘り返していた。
「っはぁー。寒いのって苦手ぇ…」
鼻まで隠れるほどマフラーをグルグル巻にしたアキネが寒さに悪態をつきながら、白い息を吐いた。
料理に足りない材料を買い出し、その帰りの事だった。たまたま出張所の前を通りかかると、ドアの小窓から、何時に無く困った顔を浮かべたニフが座っているのが見えた。…用事も早く終わった事だし、顔を出してみるか…アキネはドアを開けた。
「あー、あったかぁい!生き返る!!」
「あ、アキネさん!お疲れ様です。なんのご用事ですか?」
「いや、用事はないけど通り掛かったら、ニフが面白い顔してたからさ!」
ケラケラっと笑ってみせるアキネ。ニフは顔を赤くしながら慌てて説明をした。
「あああ!違うんです、あの!これなんですよ。ちょっと困ってて…」
そう言うと、美しい真紅の宝石がはめ込まれ、その周囲に呪詛が書かれている、真っ白い箱を取り出した。
「今日、飛竜ギルドから『届け先不明』の扱いでこちらに届けられたのですが…どこを見ても届け先やそのヒントになるものも無いし…」
箱を持ち上げくるくる回しため息をつく。
「開け口も見当たらないから、中身を調べる事も出来ません…お手上げ状態でして…」
「ふーん…その呪詛は?解読できた?」
「一応…『欲しきぞ与えん』とまでは何とか読めましたが…かなり古い術式の言語を使っていて、これ以上調べられなかったんです。添えられていた手紙にも『贈られるべき人に届いて欲しい』としか書かれてなくて」
益々、謎が深まるばかり。頭を抱えるニフにアキネはふむ…と息をつくと
「1日うちで預かろうか?もしかしたら、客の中に知ってる人いるかも。聞いてみてあげるよ」
ニフもアキネさんなら!と快諾し、謎の箱を1日預かることにした。
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謎の箱を預かってください。
尚、このクエストのアンサーソングはそのまま次のクエストソングになります。
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