【声劇台本】アナタノ戯ヘ【朗読】
演者【紫野】台本【希鳳】
【声劇台本】アナタノ戯ヘ【朗読】
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とても切なく、綺麗な言葉の台本に
惹き込まれました。聞いて頂けたら
幸いですm(_ _)m
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黄昏時(たそがれどき)の
片時雨(かたしぐれ)。
冷たく濡れた石段(いしだん)を登り。
赤茶(あかちゃ)けた鳥居を
潜(くぐ)った先で、貴方は
待ってくれているのだろうか。
霧がかかった境内(けいだい)で私は、
錆(さ)びれた思い出に溺れるように
そっと目を閉じた。
ずらりと並んだ提灯(ちょうちん)と、
騒がしくも暖かい喧噪(けんそう)。
鼻腔(びこう)をくすぐる
リンゴ飴の甘い香り。
綺麗に笑う貴方の横で、
私はそれを見つめている。
叢(くさむら)の陰でそっと
べたついた唇を重ね、
繋いだその手の感触を、
今でも私は覚えている。
もう一度目を開けば、
そこに人影などありはせず。
暗い静寂(せいじゃく)の中で
私は独りだった。
煙(けむ)に巻かれたように、
呆然と立ち尽くした私を
嘲笑(あざわら)う雨の中で、
見つめた先にある面影。
その瞳に映る私の姿は、酷く哀れで。
不意に伸ばしたその手が届くことは無い。
取り残された私は独り、
過去に捕われたまま、
くたびれた幻に縋(すが)るのだ。
叶わぬものと知りながら。
それでも私は、貴方と共にありたいと願う。
~アナタノ傍(そば)ヘ~
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