朗読台本「青嵐」

あなたのお名前

＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊ そうだ、空を見に行こう。突然そう思いついたのは、力強く風が吹いて、街路樹の緑が鮮やかな、休日の午後のことだった。 白い自転車を漕いで、高いビルの横を抜けて、公園の外をぐるりと回る。ぐんぐん視界が変わっていって、汗ばんだ身体の隅々まで、すうっと風が通るような心地がした。 今なら、どこまででも行ける気がした。…ううん、違う。わたしは最初から、自由だった。気が付いていなかっただけで、知ろうとしなかっただけで、本当はいつでも、どこにでも、行くことができたのだ。 右、左、右、左とペダルを踏んで、ひたすらに青空を追いかけていく。夏の香りが、耳元をふわりとくすぐって、道の向こうへ消えていった。さあ、もう少しだけ自転車を漕いで、今度は未来を見に行こう。 ＊・＊・＊・＊・＊・＊・＊ こんにちは、幸です。 BGM、みわたか様の、「僕らに星の道標を。」をお借りしました。星の道標を、なんて素敵なタイトルのサウンドをお借りしたのに台本が夜空に掠ってません、ごめんなさい… 軽やかに澄んだみわたか様の音、初夏の台本を書くなら絶対にお借りしたいと思っていました。素晴らしいサウンドを、ありがとうございます…！！ #幸台本