【声劇台本】淵

声: BGM:深く 青 台本:明烏

不幸な人間は、より不幸な人間を求めている どんな地獄も、道連れがいれば少しはマシになる それがサンドバッグでも 傷を舐め合う同志でも 恵まれていることに無自覚なやつらが憎いか 理不尽を刻み付け 同じ地獄に、引きずり込んでやりたいと そんな共感や逆恨みが 本当にあんたの望みなのか 諦め、折り合いをつけ、慣れ親しんできたその地獄で 本当はずっと叫んでいた筈だ どうして、何故と 助けてなどくれない世界を呪い 無力で惨めな自分を呪い それでも生きてきたあんたは 強いと呼ぶに値する人間の筈なのに 負けてしまうのか 怒りや、自己憐憫に 助かりたくないなど大嘘だろう ましてや、共に地獄に居て欲しいなどと どうして願えるだろう そこに居たいと言えてしまえる地獄なら そこはもうあんたにとって たいした地獄じゃないはずだ 抜け出すのなら 光を浴びる覚悟を決めろ あんたが助かることで 助かる人間がきっといる そして、あんたがもし 誰かに光を浴びて欲しいと願うのなら その誰かと同じ闇を、共に行く覚悟を決めろ ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ 言葉が万能だと信じるやつらに中指を立てろ 他人の薄っぺらな同情に傷つかなくていい 口先だけで行動の伴わないやつは凡そ他人だ 不幸な人間は、より不幸な人間を求めている そして 他人の不幸が好きな人間は 大抵自分の不幸が好きだ 幸も不幸も、淵(ふち)に立つあんた次第だ #台本 #声劇 #声劇台本 #1人声劇 #朗読 #朗読台本