【一人用朗読台本】『映写機』（1/2）

台本.くらげ/朗読者.

#朗読台本 #くらげの台本 Twitterで取り組んでいる、ふぁぼをくだすった方を自分の世界観でキャラ化する企画中に出た副産物です。 長いので二つに分けました。そのため、合うBGMがなく、BGMなしとなりました。つけられるようならつけていただいて結構です。 使用する際は、いいねやコメントをくださると今後の活動の励みになります。 コピペ/アレンジ可 （2/2）↓ https://nana-music.com/sounds/0490f0f0/ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ーー魔がさしたんだ。目の前を歩く老人が、後生大事そうに抱えているから、金目のものかと思った。だから引ったくってやった。中身を検分して、つまらないものだったら突き返してやるつもりでいた。それなのにーー「あ、」と言ったきり、老人は動かなくなった。瞬きはおろか、呼吸をしている様子もない。 驚きのあまり心臓が止まってしまったのか！？気を確かめようとして、老人の肩に手を置いた時、「やってしまいましたね」と声をかけられて、心臓が止まりそうになった。 振り返ってみると男が立っていた。男は、欠けに欠けて消えそうな、月のような笑顔を浮かべている。この辺りの警邏の服を着ているが、どうにも違和感のある男だ。違和感の正体に気づけたのは謎の機械の前に連行されてから。男の着ている紺の服、その背面には、刺し傷とそこから滲んだであろう血が。 ーーこいつは警邏じゃない。何者かはわからないが、目的のためにゃ殺しも厭わないことは確かだ！ ……こいつから逃げたって、今度は警邏から逃げねばならない。観念して、男の注文を聞こう。 そう決めたところに男は言う。 （続く）