【短編小説】ハロウィンパーティー⑪
古畑 時雄(Tokio Furuhata)
【短編小説】ハロウィンパーティー⑪
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【短編小説】ハロウィンパーティー⑪
文化祭の当日、ハルカのクラスは『アルプスの少女ハイジ』の劇を演じていた
そして劇も、中盤から後半へと差し掛かったのだ
クララ役のサトミが、ハイジとハイジのおじいさんの家に訪れた
其処で、クララとハイジはこんな台詞を交わした
「皆んなが…」「立てって、立てって」「私は立てないの…」
こうクララ役のサトミが言うと、ハイジ役のハルカは、こう言ったのだ
「クララのバカっ!」「何よ意気地なし…」「ひとりで立てないのを足のせいにして」「そんなんじゃ、一生立てないわ…」
こんなアニメの名シーンを、ハルカとサトミが演じると、会場の観客も『アルプスの少女ハイジ』のアニメを思い起こし、固唾を呑んで見守ったのだ
そしてハルカは最後まで、主役で有るハイジ役を演りきったのだった
ハルカが思っていた以上に、クラス代表の田中や担任の若林も、一生懸命に演じてくれた
自分が今まで抱いて居た、わだかまりから解放され、とても晴れやかな気分で、最後の舞台挨拶をしたのだ
勿論、主役で有るハルカには会場から、一番盛大な拍手と喝采が沸き起こり、ハルカはこんな風に思った
「自分を支えてくれる仲間が居たから」「そして会場に足を運んでくださった観客の皆さんが居るから…」
ハルカの此の気持ちは紛れもなく本心で、自分は今までハイジではなく、クララだったんだと此の時に思った
そしてハルカのクラスは文化祭の劇の部門で、惜しくも準優勝に終わったのであった
つづく…
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