【声劇台本】偽善者は正義の悪役を名乗る
【出演者】
【声劇台本】偽善者は正義の悪役を名乗る
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#声劇台本 #別れ #旅人 #2人声劇 #切なげ #幸せ
#最後に交わした約束 お借りしました!
・アドリブ自由 声劇活動の台本としてお役に立てたなら幸いです。ご自由に演じて見てください。
☆――あの日見た『彼女』のことを私はずっと探し続けている......
医者「直入に言おう。お前が生きられるのはせいぜいあと数ヶ月だ」
☆残された時間はあまりにも少なすぎた。
けれど、
♢「見つからなかったらどうする?」
☆「その時はその時。でも、残された時間最後まで抗い続けたいの」
♢「覚えているか? お前が消えた日」
「『彼女』もまた姿を消した」
☆「分かってるんだ。『彼女』いいえ、お姉ちゃんが私の前から消えた理由。それは――」
♢滅びた種族の森の塔を。
☆凍てつく大地を。
♢太陽に愛された砂漠を。
☆栄える水の都を。
☆♢これは『彼女』を見つける旅のお話し。
私・彼女という死者が綴る拙い物語。
♢「人って必ずいつか死ぬんだよな」
☆「そう。だから、言葉を残すの。自分が生きた証を記すために」
♢「その本は、誰に渡せばいい?」
☆「この本は――」
(間を入れて)
♢「お前、本当は全部分かってたんだろ......。黒幕の正体なんて」
☆「隠された真実がもうすぐ分かる」
「答え合わせは物語の中に」
「優しい嘘をありがとう」
(被せるように)
「正義の悪役さん」
☆☆☆☆☆
正義の悪役《ヒーロー》 解説
最後に見た姉の姿が目に焼き付いている。
赤い目を爛々と光らせ、嬉々として刃物を構える姿は本来の種族である『鬼』そのもので、邪悪の化身と化したその姿をただ呆然と私は眺めているしかなかったんだ。
呪われた血。『鬼』に憑かれた一族。
それが私たちだった。
初めは、本当にお姉ちゃんがいるのだと、そう思っていた。でも違った。
あの日、私が見ていたお姉ちゃんは。
お姉ちゃんではなかった。
あれは、私の姿だ。私とお姉ちゃん(私に憑いてる鬼)の姿だったのだ。
お姉ちゃんなんているはずもない。
けれど、君は私に嘘をついてくれた。
優しい嘘を。偽善者を君が自称しても、私だけは君をヒーローだと言い続けよう。
君は間違いなく、私のヒーローだったのだから。最高の旅をありがとう。
☆ 私 ...『鬼』の一族に生まれたが鬼だという自覚がなく、幼き頃に消えてしまった姉を捜し求めて旅に出る。しかし、旅をするうちに自分と姉が同一の存在だと気付き始める。
♢君 ...私の幼なじみ。私が鬼であるということを知っており、余命僅かな私を気遣って旅の供となる。偽善者を自称しているが、心優しい性格。私に対して嘘をつき続け、私の本(解説)を読み、正義の悪役/ヒーローを自称するようになる。
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