【声劇台本】血海の人魚

●青年【】× ○人魚【】（楽曲:Zzz様）

溺れても、溺れても。 彼が来るまでは… --------------(以下台本📚)--------------- (01.28) ●星の湖(うみ)を進む。船頭(せんとう)が掻(か)き分ける水は、酷(ひど)く重い。 ○「青年、血の臭(にお)いを嗅(か)げ。」 ●小舟(こぶね)が止まった。闇よりも暗い目を覗(のぞ)かせて、人魚がこう言った。 ○「この水面下(すいめんか)に、無数の屍(しかばね)が在る。俺の家族、同胞(どうほう)たちの骸(むくろ)だ。」 (01.04) ●「それは戦(いくさ)の……」 ○「青年。なァ、おまえに解(わか)るか！溺(おぼ)れるって苦しいんだぜ、俺ァ気の遠くなるほど、溺れては蘇(よみがえ)りを繰り返した。その果てがこの姿だ！」 ●「解(わか)れやしない……」 (00.47~46) ○「目の前で人間がくずおれていく様(さま)を眺めたことはあるか。遺(のこ)されるしかない者の無念を知っているか！」 ●「それなら解る。僕ァ君の死んだ姉さんと愛し合ってた。」 ○「嘘だ。……まさか。」 (00.30) ●「此処(ここ)を通してくれ。僕ァ溺れたっていいが、それより地獄に堕ちる必要があるんだ。この村を襲った奴らを殺したら、その罪を背負(しょ)って、僕も死ぬ。」 ○「義兄(にい)さん。」 ●「もう安心して眠りな。君、本当はとっくに死んでるんだろ。」 (00.10) ○「……ここじゃ、土に還れない。」 ●「僕が骨を集めよう。……さァ、おやすみ。」 #台本コピペ禁止 #台本引用添付禁止 詳しくは↓ https://nana-music.com/sounds/03c27550/ ------------------------------------------ (設定📒) 村を襲われ、全てを喪った青年は、復讐を誓って旅立った。襲撃のあの日から幾年もの間、殺しの技を磨き続けた。彼はこれが「罪」であることを充分承知していた。 星の瞬く、静かな夜。青年はかつて村があった場所を通り過ぎて、小舟で湖を渡った。逃げようと水に飛び込んだ村人たちが、追撃を受けて沈んでいった湖だ。 ずっしりと重い水を掻き分けて、青年の小舟は進んでいく。不意に小舟が止まった。水面から現れたのは、暗い目をした人魚だった──。 ------------------------------------------ タイトルは『血海(けっかい)の人魚』と読みます。暫くぶりの台本投稿、少し口調を古めかしく、そして重い物語を描きました。ある種の戦争物語（私はゲームというより映画と捉えています）『METAL GEAR SOLID』に、最近、改めて触れ直しているところで、そこで得た感情が影響しているのかもしれません。この世界の何処かしらで確実に起こっている惨劇、苦痛のことが頭を離れません。どうして人間は争わずにいられないのかな。 重い物語になってしまい申し訳ないのですが、息を呑むほど美しく幻想的なこの楽曲以外、もう考えられなくなっておりました…。Zzz様、お世話になります。本当にありがとうございました…！！💐✨ #声劇台本 #言端の声劇台本 ❗️台本利用時の注意は、プロフィールをご覧ください。 ❗️人称・性別の変更不可✖️です。ただし、人魚さんは性別不詳にしてあります。人称は「俺」ですが、女性・少女っぽく演じてくださっても🙆‍♀️ ❗️コラボ時は、楽曲様に拍手・コメントを！！