【声劇台本】聞こえない返事

台本:壬音 私: 僕:

いくら話しかけても、君の返事は私には聞こえなくて。 むたましゃんとの掛け合い声劇用に書いた台本その２。 上条 律さんの素敵な伴奏で。 亡くなった人に語り掛けるのは いつだってチクリとした痛みが心に走ります。 それが大切な人だったなら尚更。 もしかしたら返事をくれているかも知れない。 でもその返事が届くことはないのです。 もう一度、声が聞けたならとどれほど望んでも。 「」内の文章を「私」が、 『』内の文章を「僕」が読んで下さい。 話口調くらいのスピードでそれぞれ読むと しっくりくるタイミングがあるかと思います。 一人称、二人称、言い回しなど ご自由にアレンジして頂いて結構です。 ****** 「ねぇ、来月行こうって約束した旅行のことだけど」 『うん』 「私すっごく行きたかったって知っている？」 『知っているよ、ずっと楽しみだって言っていたもんね』 「朝一番の電車に乗って、朝ご飯は駅弁でも買って」 『君、朝弱いからなぁ…むすっとした顔が目に浮かぶよ』 「目的地についたら、先にホテルに行って荷物を置いて」 『そうだね、僕もずっと荷物持ちは少し疲れるから』 「すごく景色が綺麗な展望台があるみたいだからそこに行って」 『君、はしゃぐとすぐ転ぶからなぁ…』 「ふふ、それから貴方が行きたがっていた美術館にも」 『それは嬉しいね。でも君、美術館は苦手だったろう？』 「確かに私は美術館とか博物館とかには興味はないけど」 『だろう、すぐ飽きたって言うんだから』 「でも、ちゃんと我慢するから」 『…ごめんね』 「だから、一緒に、行こう」 『でも、僕は、もう居ないんだよ…』 「何で、返事、してくれないの…」 『ごめんね…』 ****** みおとのお話一覧 https://nana-music.com/playlists/1650630/ https://nana-music.com/playlists/1869568/ https://nana-music.com/playlists/3874906/ #台本 #朗読 #朗読台本 #掛け合い声劇 #二人声劇台本 #声劇台本 #声劇 #悲しい #切ない #穏やか #寂しい #旅行 #死別 #死にネタ #壬音のお話 #律ピアノ