一夜城
粟田口一座 語り部/一期一振
一夜城
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一夜城/一期一振
粟田口一座の公演へようこそおいでくださいました。日頃より弟共々お世話になっております。今宵の演目は私、一期一振が務めさせていただきます。
そうですね、本日は1人の元主の話をいたしましょうか。戦の世を生きた、派手好きな男の話です。演目、始まりますよ。
その男は魔王と呼ばれた織田信長に仕え、猿と呼ばれていた男でした。時は1566年、美濃を攻めるために国境近くの川の対岸に城を造ることとなりました。ここに拠点を築くことは美濃という領土を手に入れる為にも重要な作戦であったようです。
当時、織田信長は男よりもずっとずっと位が高い重臣に拠点確率の命を下したのです。けれどもその命を達成することはできなかった、失敗してしまったのです。さてどうなるか、そう思った矢先、男が言うではありませんか。
「私にお任せください」と。
男は元よりその土地に住んでいた者と手を組み、一晩のうちに城を完成させてしまったのです。「完成しました」と、現れた男と城を見比べ、信長は男を大層気に入ったそうです。なぜ城が一夜で完成できたのかを男、元の主は結局わたしが居るうちに語ることはありませんでしたが、以来、その男は信長の下で出世していくこととなったそうです。
その男、元の主のまたの名を、豊臣秀吉と、そう言います。
彼が、この話をするときはとても上機嫌でしたよ。これにて話は終了です、ご静聴、ありがとうございました。
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