【声劇台本】喪失の歌姫

人魚姫【あなたのお名前】

惚けた意識を波風で覚ますように、刃物で刺したような脚の痛みを洗い流すように、月の光に照らされた冷たい海水に足を浸からせる ＿＿かつて“尾ひれ”が付いていた頃を思い出す 私はもうあの頃のように、大好きな歌も、ましてや言葉を発することもできない 全ては自分が選んだこと。後悔はない 王子様と言葉を交わすことのできない悲しみも、足を踏み出すたびに身体中を走る痛みも、王子様と再び出会うことができた今なら耐えられる でも、いつかは私も泡になって消えてしまうかもしれない それが明日なのか、遠い未来になるのかは分からないけれど この想いはきっと、いつか王子様に伝わるはず ＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ 童話作家 アンデルセンは、1836年 に人魚姫という童話を作りました。これはそのお話のパロディ作品です 童話「人魚姫」は地上にいる王子様に会うために美しい尾ひれと声を失う少女のお話です。結末は知らない人もいるかと思われますが、人魚姫は、一度は人魚に戻るチャンスを与えられても尚、その条件である王子を殺すことができず泡になりました。きっと、それだけ王子を愛していたのです かつて人魚だった頃の美しい歌を奏でた声は失われ、無くなった尾ひれの代わりにできた脚は、歩くたびにナイフで刺したような痛みが走ったと言われています。 惚(ほお)けた 脚(あし) 海水(かいすい) #台本の引用添付はおやめください #声劇 #台本 #童話 #カプちーのの台本