【声劇】ぼくの家族
cv.◯◯ 演奏/よすが 台本/襖猫
【声劇】ぼくの家族
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よすがさんのオリジナル伴奏をお借りしました。
独り語りの台本になります。
特筆することもないので、
自由に演じていただければ幸いです。
#よすが伴奏
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ぼくが3つの時、
彼は新しい家族になった。
身体は小さいけど、とても好奇心が強かった。
彼はすぐに大きくなって、
ぼくの背丈など追い越してしまったけど、
優しい瞳は変わる事はなかった。
鼻を撫でると、時々、大きなくしゃみをした。
それを見てぼくも父も笑った。
彼も、鼻を舐めながら面倒くさそうに笑った気がした。
ぼくが10(とお)になった頃、
彼はあまり歩かなくなった。
「もうおじいちゃんだからね。」
と、父は言った。
ぼくが家に帰ると、
彼はいつも通り眠っていた。
彼は遠くに旅に出たのだそうだ。
「おじいちゃんだから、
そんなに遠くまで歩けないよ?」
そう聞くと、
父は黙ってぼくの頭を撫でた。
その後、彼の毛並みを綺麗に撫で付けて
「ありがとう」
と、呟いた。
ぼくも、彼を撫でて
「ありがとう」
と言った。
面倒くさそうに笑う彼の顔が
不意に目の前を通り過ぎた気がした。
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