He was my brother 私の兄弟
Simon & Garfunkel サイモン & ガーファンクル
He was my brother 私の兄弟
- 208
- 36
- 9
1日一曲 S & G の時間⁉️です。この曲は、1960年アメリカで起こった人種差別撤廃の公民権運動を扱った歌です。銃弾に倒れた若者を、「私の兄弟」と慈しむ歌です。
He was my brother
兄貴は逝っちまった
Five years older than I
He was my brother
Twenty-three years old the day he died
僕の5コ上、23だった
◆歌詞は続きます。
Freedom rider
フリーダム・ライダーどもめ!って
They cursed my brother to his face
あいつら、兄貴を面罵したんだ
Go home outsider
自分のいるべきところへ帰れよ!って
This town's gonna be your buryin' place
じゃないと ここがおまえの墓場になるぞ!ってさ
◆フリーダム・ライダー(ズ)とは、
1960年代に行なわれた公民権運動のひとつです。
アメリカでは、1955年にアラバマ州モンゴメリーで行なわれたバス・ボイコット運動をきっかけに、人種差別の撤廃を求めた公民権運動が盛んに行なわれており、暴力的な衝突も多かったようです。
有名なのは、大統領命令で米陸軍が派遣される事態にまでなった『リトルロック高校事件』(1957年)でしょうか。
また、マーティン・ルーサー・キング牧師(1929-1968)らの呼びかけにより、20万人が参加した『ワシントン大行進』(1963年)が有名です。
◆当時、バスなど公共の乗り物は
人種によって座席が分けられていたのですが、ミシシッピを中心とした地域で、「フリーダム・ライダー(ズ)」を自称する人たちが、差別への抗議運動として、その区別を破って乗車するという活動が行なわれたそうです。
白人も黒人も含めて、数百人規模の人々が参加しました。
しかし、一般の人種差別主義者から暴行されたり、地元警察に逮捕されるなど、かなり荒っぽい仕打ちを受けたようで、多くの死傷者が出ました。当時の写真では、活動家の方々が暴力を受け、血を流している光景が結構見られます。
★歌詞に描かれているのは、
そうした光景のひとつでしょうか。
He was singin' on his knees
兄貴はひざまずいて歌ってた
An angry mob trailed along
怒った暴徒たちが 兄貴を引きずって行って
They shot my brother dead
撃ち殺した
Because he hated what was wrong
兄貴は間違ったことが嫌いだったから…
あいつら、正しいことを言い続ける兄貴のことが腹立たしかったのさ
◆歌は、慟哭のように続き、終わります。
He was my brother
兄貴は逝っちまった
Tears can't bring him back to me
どれだけ涙を流しても もう僕のもとへは戻って来ない
He, he was my brother
兄貴は逝っちまった
And he died so his brothers could be free
僕らの自由を求めて 命を懸けたんだ
He died so his brothers could be free
自由を求めて
曲はフォーク調ですが、サイモンとガーファンクルの静かな迫力のある声で歌われると、抑制の効いた慟哭…というのも矛盾していますが、そんな風に聴こえます。
★フリーダム・ライダーズの1人に、
アンドリュー・グッドマン(1943-1964)という人がいました。
当時、ニューヨークのクイーンズ大学の学生でしたが、夏休みを利用してミシシッピへ行き、活動に参加していました。
◆彼は現地で
逮捕されたのですが、その後、2人の仲間とともに釈放されました。しかし、帰る途中に、クー・クラックス・クランのメンバーによって車を止められ、仲間とともに射殺されたのです。1964年6月21日のことでした。
遺体は犯人らによって郊外に遺棄され、発見されたのは8月になってからだったそうです。
まだ20歳だった青年の、痛ましい最期でした。
◆一説によると、
この『私の兄弟』は、グッドマンに捧げられた歌なのだそうです。
また、別の一説によると、彼の生前に作られた曲なので、それは違う、のだそうです。
この歌(アルバム)が録音されたのは1964年3月。グッドマンが殺されたのは同年6月でしたから、この歌が作られた時はグッドマンを想定していたわけではなかったようです。
ただ、彼の死後に「捧げられた」ということはありえると思います。
ポールとは年齢も近いですし(ポールは1941年生まれ、グッドマンは1943年生まれ)、お互いニューヨーク近郊の出身で、ユダヤ系アメリカ人という共通点もあります。
コメント
9件
- Simon(旧)
- 地味変
- Simon(旧)
- 地味変素晴らしい再現です!(^^)👍
- 沙夜(さよ)🐇こんばんはー 素敵で詳しい説明をありがとうございます こうしてキャプションに色々書いてくれるのってありがたいよねー 私の生まれる前のアメリカでは人種差別が普通だったなんて、、、 色んなところで迫害を受けていた人種は、色々な理由があったにせよ、あってはならないことだと思う みんな、同じ赤い血が流れ、言葉を話し、感情豊かな人間なんだから、地球規模でいけば、みんな仲間じゃん! 今に至っても、人種差別という風潮は無くなったかのように見えるけど、国通しの対立とかあるし、、、 凄く難しい問題かもしれないけど、全人類が手を取り合って仲良く暮らせる日々が来ることを願います
- Simon(旧)
- Simon(旧)
- にくきゅう🐾 今までありがとうございました詳しいなあ… サイモンさん、サイモン&ガーファンクルで本一冊書けるんじゃ無いっすか?? ギターの音も歌も益々磨きがかかってますね!! ニールヤング的な弾き方もカッコイイ!!!
- 桜子美しい〜〜。こんなに素晴らしい歌を歌えるなんて。。☺️