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奇跡の泉 オリジナル音楽小説
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生まれつき盲目の女性ナンシー、彼女は、光を知らない。 ナンシーの恋人 ライアンは、プロポーズをしようと思っていた。 今日は、いつも二人で祈りを捧げている教会でミサのある日。 いつもの様に祈りを捧げ、帰ろうとしていた時だった。 ----------------------------- 神父「ライアン、ナンシー、君たちを見ていると、私は幸せな気持ちになれる。人はひとりでは生きていけない。それをいつも君たちから学んでいるよ」 ナンシーとライアンは、照れくさそうに笑っていた。 神父「私は、君たちを心から祝福したい。ナンシー、君はライアンの姿を見たいかい?」 ナンシー「いいえ。神父様、私は、ライアンの姿を愛しているわけではありません。彼の心を愛しています」 ライアン「ナンシー…その…こんな時なんて言えばいいのかな。初めて君とこの教会で会った時、君の美しさに、心を奪われた。僕は、君自身が自分の姿を…君の花嫁姿を見て欲しいんだ」 ナンシー「ライアン…」 ライアン「待って。この続きを聞いてくれないか。君を愛している。これからもずっと、君の目になるよ。だから、僕と結婚してほしい」 ナンシーは、微笑みと涙を浮かべ、頷く。 ナンシー「ライアン…嬉しい。私もあなたとずっと一緒にいたい」 ライアンは、彼女を抱きしめた。 彼の目に一筋の涙が流れる。 神父「私は、素晴らしい光景を目にすることができた。 感謝の気持ちとお祝いに、ぜひ君らに見せたい場所がある。さぁ、こちらにいらっしゃい」 神父は、教会の奥の扉に案内した。 今までその扉の向こうに誰も入ったことはない。ライアンは、少し不安げな顔しながら、ナンシーの手を握る。 ナンシー「大丈夫よ、ライアン。神父様を信じましょう。せっかくお祝いしてくれるって、言ってくれてるのだから」 ライアン「そうだね」 静かに扉を開け中に入った。 そこは、沢山の花々が咲いている中庭。その中央に、泉が湧いている。 ライアン「なんて素晴らしい庭なんだ。こんな庭初めて見たよ」 ナンシー「どんな花が咲いているの?」 ナンシーは、笑みを浮かべながら、聞いた。 ライアンは、少し気まずい顔をしていた。 神父がライアンを泉の方に呼んだ。 神父「ナンシー、ライアン、ここの泉は、枯れることなく昔からここにある。心の清らかな者を祝福してくれる。さぁ、飲んでごらんなさい」 神父は、木製の杯で泉の水を汲みライアンに手渡した。ライアンは、静かに頷く。 先にライアンが水を飲んだ。 そして、ナンシーに杯を手渡した。 ライアン「とても冷たくて美味しい水だよ。ナンシー、君も飲んでごらん」 ライアンから杯を受けとり、水を飲んだ。 ナンシー「わぁ、花の香りがする水ね…」 ナンシーの目から涙が溢れる。 ライアン「どうしたの?ナンシー」 ナンシー「何でもないわ。ただ、あなたの顔が見えただけよ」 ライアン「今、何て言ったの」 ナンシー「あなたの顔が見えるわ。 私が夢で見たあなたの姿と同じ」 ライアン「僕が見えるの…」 神父「信じる者は救われる。昔も今も変わらない。ライアン、汝は、如何なる時もナンシーを支え愛することを誓いますか」 ライアン「はい」 神父「ナンシー、汝は、ライアンを如何なる時も支え愛することを誓いますか」 ナンシー「はい」 神父「ここに、二人の結婚を認め神の祝福がありますように」 小さな中庭で、花々と陽の光が二人を祝福してくれた。 Fin 文 音楽 Guardian オリジナル音楽小説 ©️Guardian & Nanako Japan

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