本編第1話②
囚われの少女
本編第1話②
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#和風 #声劇 #幻想月華 #イヤホンヘッドホン推奨
皆様お久しぶりです。団長nagiと副団長れーちゃん。です。
本編1話②投稿です!
今回は前回とは一転して、少しシリアスなお話になっています。
楽しんで(?)いただけると幸いですm(_ _)m
幻想月華公式Twitterアカウントでは、本編や番外編を投稿するごとに裏話などを呟いています。
よろしければそちらもチェックしてみてくださいねฅ^•ﻌ•^ฅ
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第1話〜囚われの少女〜②
麻衣がいなくなってから数時間後。
空はすっかり暗くなり、星が瞬き月は輝いている。
真白は格子の隙間から空を見上げた。
(真白)「わぁ……! 満月だぁ! 綺麗……」
時刻は深夜……満月が空の高い位置にある。
格子の隙間から射しこむ白銀色の月の光が、真白をゆらゆらと照らした。
すると、艶やかな黒髪は月の光と同じきらめく白銀色に。
瞳は真紅と金に変わる。
(真白)「あ、髪の色が……」
自分で自分の髪に触れ、サラサラと手櫛で梳く。
そして窓のガラスを鏡にして瞳を覗き込んだ。
(真白)「っていうことは目も……やっぱり色が変わってる。満月の夜はいつもこうだよねー。お月様の力かな?」
真白は咲いながら窓を開け、月へと手を伸ばす。
──が。
(真白)「あっ……」
見えない壁はその手を阻む。
その壁は真白を守ると同時に真白自身を閉じ込めていた。
(真白)「……私には、ここしかないのかな」
──外に出てみたい。
麻衣と一緒に遊んで、ごはんを食べて、いっぱいいっぱい話して、たくさんのことをしたい。
でもそれはこの見えない壁がなくならない限り叶うことはない。
(真白)「ここにあるのが私の全て……昔も今も、これから先も……。……わかってる、わかってるよ……でも……私は!」
部屋全体が揺れ、真白は強かに頭を床に打ちつけた。
(真白)「うわわっ!? いった! 何っ!?」
真白は頭を押さえながらふらふらと窓から外を見る。
幸運にも今日は満月。
月の光に照らされて浮かびあがる灰色の煙がはっきりと確認できた。
(真白)「煙……! 一体何が起きて……!?」
そして次の瞬間。
(真白)「な、何……あれ……!?」
山の向こう、ちょうど満月の下辺りから屋敷に向かって迫ってくる巨大な黒い影。
歪な形をしたそれらが放つムカムカしたような気持ち悪い感覚が辺りを包んでいく。
(真白)「黒い影……違う! 生き物の群れ!?」
黒い粒が重なり合い、魔法のじゅうたんのようにうねっている。
そしてそのじゅうたんはどんどん大きさを増していって……。
(真白)「……麻衣、麻衣! 無事なの!?」
真っ先に思い浮かんだのは、毎日のように自分を訪ねて来てくれる麻衣の顔だった。
急いで扉へ駆け寄り、叩こうと手を振り上げる。
(真白)「いたっ!」
また見えない壁に阻まれる。
そんな間にも気持ちの悪い気配は迫ってくる。
──あれは、あれだけはダメだ。みんなきっと死んじゃう……!
(真白)「……っ!」
真白は今までにないくらいの焦りを感じていた。
本能が、アレは危険だと叫んでいた。
(真白)「お願い! 開いて! あれは……!」
(時雨)「──なら、ぼくが出してあげようか?」
(真白)「えっ……?」
突然、背後から少年のような声が聞こえる。
振り向くと、窓の外には……
(真白)「あなた、は……?」
(時雨)「ん? ぼく?」
(時雨)「ぼくは時雨。真白、一緒に遊ぼう?」
一人の少年が、いた。
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