じゅうにつき
谷川俊太郎
じゅうにつき
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詩③
じゅうにがつは なくしたてぶくろ
いつのまに
どこへいってしまったのか
ひきだしのおく
こーとのぽけっと
ともだちのうち
さがしても さがしても
みつからない
もしかすると うちゅうのかなたへ
とんでいったのか
あたためるてが こいしくないのか
からっぽの まいごのてぶくろ
いちがつは
うまれたばかりの いもうと
すっぱだかで やってきて
おおごえでなく かとおもうと
なにもかも わかっている
というかおをして じつとはなしを
きいていたりする
どこからきたの
ふしぎな ちいさいいきもの
そばにいると なつかしい
においがする
にがつは ゆき
みちばたに しんでいる
ねこのうえにも
すてられた てれびのうえにも
しろく やさしく おともなく
ふりつもり
けしごむのように きたないものを
けす
さわるのが もったいない
とけるのが くやしい
おくりもの
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