3 路地裏の喫茶店 ありふれた日常
Guardian
がーでぃ庵 物語原案 作曲 いつもの光景…でも、同じ日などないんだ。毎日、何かが違う。でも、忘れてしまう。「お兄さん、アイスティー三つね」「こっちは、カレーとケーキセットにコーヒー」…、…、「はい、あ、いらっしゃいませ…」ふぅ〜、人を雇うほどのお店じゃないから、午後5時くらいまでは、ちょこちょこと忙しい。当店は、ラストオーダーは、特に決めてない、暇な時は9時頃には片付けをはじめる。実は、メニューにないけど、日本のワイン、知り合いに安く譲って貰えるので、数に限りがあるから、常連さんでワインが好きな方に。夜7時を回ったころ、女性が一人「すみません、まだお店開いてるかしら?」「いらっしゃいませ、はい、どうぞお好きな席へ」 「お酒ってないかしら、それと…」「メニューに載せてないんですけど、辛口の赤と白、それと甘口のロゼワイン、日本で造られたものですが、それで良ければ。おつまみは僕のきまぐれ」「じゃあ、白ワイン頂けるかしら。それとマスターのきまぐれを」「はい、少々お待ち下さい」二十代後半ぐらい、長い髪を後ろで束ね、涼しげなターコイズブルーのワンピースを着て小さな白いバック。でも、こんな時間に1人お酒って…ま、余計な詮索するのは良くないな。えっと、リコッタチーズを混ぜたニョッキとカボチャのクリームソース、プロシュートとフルーツトマトにルッコラのサラダを今日は出そう。夜来るお客さん用にお酒のつまみ、コストが高くなるので夜だけ限定。残りは僕の夕飯。「先に白ワイン、それとブルスケッタをどうぞ」お店には、二人だけ、僕は、静かに Ella Fitzgerald のEvery time we say goodbye のレコードをかけた。この店は、祖父がはじめた。古いカウンターとテーブル、椅子、10人が限界かな、小さなお店なんだ。置いてあるもの、キッチンも全部レトロというか古い。「この曲、懐かしいわね」「ご存知なんですか?」「…クスッ…」「え?何かおかしいです?」彼女は、僕を見て笑っている。酔ったのかなぁ…つづく