【声劇台本】なみだあめ

【台本】もやし×【声】あなた

夕方がすき ※涙雨＝ほんの少し降る雨 ──────────── 親友が泣いた 僕は泣かなかった くしゃ、としわ寄る手に 握られた飴玉 さっきまで僕の手の中にあった 始まりは終わりで 終わりは始まりだ それはうまくできた人間の言葉であって 僕らみたいに 不完全で 未熟な 人間には 言えるわけないんだ さっき僕が“彼女”にあげた飴玉を 彼女は食べてくれただろうか 彼が“想い人”からもらった飴玉は 彼の口へと消えていった 「お前とはつくづく一緒だな」 甘党の彼はとびきり甘い飴を転がして 僕に苦笑いをした 「大切にしろよ」 これで彼の恋は終わりを告げて 僕らはまたいつもの帰り道に歩き出す 兎角、恋ってのは それはもう ため息と涙でできたものなのだ おわり ──────────── 恋ってそんなもんさ ...なんてね