🎡 眠れないのはお前のせいだろ 🎠
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第9幕『予定調和』
闇に侵食されたこの場所でたった一つ、観覧車の照明だけが目に痛い。少女のような少年──ヤーナは、隣の影がふと歩みを止めたのに合わせて顔を上げた。横を歩いていたはずのカミリアは、いつの間にか数歩後ろで観覧車を振り返っている。
「どうしたの」
「……いえ」
普段の彼女からは想像もつかないほど、歯切れの悪い返事が飛んでくる。急変する態度に、ヤーナは一瞬底知れぬ恐ろしさを覚える。この女と共に過ごすようになって数百年は経つが、未だに彼女の本心は分からなかった。かまをかけるつもりで、ヤーナは態とらしく口元に手を当てた。
「さっきまでAMのこと褒めてたくせに、そんな怖ーい声しちゃって。ねえ、カミリアも本当は、AMなんか居ない方が良いって思ってるんじゃないの?」
後ろ手を組んで、ヤーナはカミリアに近づく。街灯が反射して、彼の尖った八重歯がギラリと光る。だが、面白いことが聞けるかもしれないと唇を引き上げたヤーナの期待は、容易く裏切られた。
次の瞬間、カミリアは至っていつものように大仰に両手を広げてみせると、幼い子どもを諭すようにヤーナの額に人差し指を当てた。
「何を仰います。私はAMの皆さんが素敵に頑張る姿をただただ応援したい一心なのですよ。窮地に追い込まれた者というのは、時に誰も予想だにしなかったことを成し遂げますから」
不意を付かれ目を丸くするヤーナに向かって、カミリアは仮面の下の口を歪に変形させる。それは傍から見れば単なる笑顔に過ぎなかったのだろう。けれど、彼女を前にしたヤーナには、とても笑っているようには見えなかった。
「それが吉と出るか凶と出るか、物語の続きを予測するのは、とても贅沢な遊びでしょう?」
感情の根幹を露呈しないまま、彼女はただ悠々と嗤うのみ。自分はあくまでも馬鹿にされている。それを悟った途端、ヤーナは酷く憤慨して額からカミリアの指を振り払った。
「お前、お前やっぱり気持ち悪いんだよ! 馬鹿にすんな!」
髪が逆立つ勢いで捨て台詞を吐いて、ヤーナは闇夜を走り去っていった。彼の小さな後ろ姿を眺めながら、カミリアはくすりと息を漏らす。
「本当に楽しみにしているんですよ。AMの皆さんのご活躍。けれど……」
そこで口を閉じ、カミリアは再び観覧車を見上げる。先程、あの小窓のひとつに『彼』の影を見たような気がしたが、どうやら気のせいだったようだ。美しい銀髪と、シャラリとなる金色のピアス、涼やかな表情。どれをとっても癪に障る。
「あの男だけは、許してなるものか」
薄氷の真下にいるような、怨みと息苦しさを秘めた声音は、彼女の内にそっと閉ざされていた。今は、まだ。
SEASON1【魅惑パーセンテージ編】END
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借りぐらし迷いの中で
自分探しその道すがら
辿り着いたしじまの宿で
鍵をかけた 孤独に慣れた
生き方に嫌気がさして
尖る角に頭をつけた
目を覚ますと始まるビデオ
顔あげると己の姿
隠したzipに包装
でもここでは本音が暴走
明日から変わるよ僕本当
嘘八百湧き出る煩悩
頭割れてく ここでビビデバビデブ
ああ妄想洗脳症
痣になる程に汚れて
焼けた感情落ちて頂戴
赤裸々に語る姿を
映す反転ルームNo.4
認めたいのに許せないの
眠れないのはお前のせいだろ
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〖CAST〗
🎰カミリア(cv:ヒイロライカ)
https://nana-music.com/users/9203821
〖ILLUSTRATOR〗
日向ひなの
https://nana-music.com/users/2284271
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〖BACK STAGE〗
‣‣第8幕『ゲートの先には』
https://nana-music.com/sounds/06aca230
〖NEXT STAGE〗
‣‣第10幕『救いはあるのかい?』
https://nana-music.com/sounds/06ade3dc
#AMUSEMENT_AM #ルームNo4 #となかり #超学生
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