nana

ロックスター
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外は春の陽気、今日も私は病院の個室で入院中の妻と過ごしている。 仕事でこんなことがあったとか、あそこに店ができたとか、そんなたわいもない話をしては、笑ったり、驚いたり、不意に訪れる沈黙を楽しんだりもしている。 備え付けのテレビでは旬を過ぎた中年のシンガーが時代遅れのロックンロールを歌っている。芸能に疎い私には彼の音楽の良さはよくわからないが、若い頃はそれなりに人気があったらしい。 「あ、この曲」 画面を見つめる彼女の顔は10代の乙女のようにキラキラしている。実際、彼女は私と出会う前の10代の頃からこのシンガーのファンなのだそうだ。 「彼の歌にはね、魂が宿っているのよ」 彼女には申し訳ないが、私にはよくわからない。どこかで聴いたことのあるようなメロディーに、嘘で塗り固めたような前向き過ぎる歌詞。もっとも、彼がいまよりずっと若くてスマートな青年だったらまあ、わからなくもない。しかしどうだ、いまの彼は、ブラウン管のテレビが時代とともに薄くなるのに反比例して腹の厚さが増してしまったようだ。そんな姿の中年男性がなにをどう歌おうが、私のような男には響かないものだ。 それでも、いまの彼女を支えているのは彼の歌だ。その点では彼を心から尊敬し、そして感謝している。 ───── 「ここで1通メールを紹介します。 『私の妻は10代の頃からあるロックシンガーのファンでした。彼女は体が弱く長いこと入院していましたが、3ヶ月前に亡くなりました。 でもね、聞いてください。 医師の宣告よりも、7ヶ月も長く生きたんです。 彼女は毎日、彼の歌を聴いていました。彼の歌が、間違いなく彼女を支えていました。僕だけではだめだったんです。悔しいけれど。 彼女は日々を、彼に与えられた日々を、最後まで全力で生きました。彼の歌に宿る“魂”が、きっと彼女にも宿ったのだと思います。これを奇跡と呼ばずになんと呼びましょうか。 このことを彼はおそらく、というか絶対に知らないでしょう。でも、実際に奇跡は起きたんです。 彼女にとって、いや、僕にとってもあなたは奇跡なんです。 ありがとう、ロックスター。 これからもあなたが知らないところで奇跡を起こし続けてください』───」 メールを読み終えるとDJは、私がリクエストした彼の曲をかけてくれた。 ・・・うん、やっぱり私には彼の音楽の良さはわからない。わからない、が、前よりもなんだか少しだけ、聴いていて心地よい気がする。彼女の魂も少しだけ宿っていたりするのだろうか。いや、そんなわけないか。そんな奇跡みたいなことが。 今日も私は、彼女がいない世界を生きている。 時代遅れのロックンロールを聴きながら。 〜〜〜 歌詞を見ながら聴いていたら↑みたいな情景がブワッと広がって、気づいたら号泣しておりました。完全に勝手な妄想なので全然違うかもしんないですけど、それでも書かずにはおれなかったです。長々と失礼しました٩( ᐛ )و #みづのの妄想 ぜひ原曲フルで聴いてみてください。最高ですので( ˘ω˘) https://youtu.be/Ok4QGOJjpKI?si=_4ZOEYqtr9c0bCf1 ↓歌詞もフルで載っけときます。最高ですので( ˘ω˘) 〜〜〜 朝靄みたいに曖昧なものに名付けて生まれた商売。 ブラウン管に毒づいてる横で有機 el がショウタイム。 ダラダラダラ、鳴り止まぬダウンビート。 きらきらきら、今年ももう終わる。 音もなく消えた向かいの喫茶店。 金なきゃしょうがないか。 誰一人として世界を救うつもりのない冷めたマーベル。 ユラユラユラ、世界は美しい。 きらきらきら、虚しくまた終わる。 あぁ、ロックスター。君が嘘をつき続ければ、 大体退屈な彼女は息を続けるだろう。 あぁ、ロックスター、誰かやつに教えてやれよ。 「とっくにお前はさ、誰かにとって奇跡なんだ。」って、 ありふれた主義に、思想のフリフリ。 ゴスロリに謝罪どうだい? 大それた事は言えないよ、だけどできれば愛が欲しいさ。 ダラダラダラ、追いかけるダウンビート。 きらきらきら、今年ももう終われ。 愛したいものだけ愛せたらいいのにね。 スクランブル、歓声が響く。もう終わる。 ばかみたいに幸福で。 あぁ、ロックスター。君が嘘をつき続ければ、 大体退屈な彼女は息を続けるだろう。 あぁ、ロックスター、いつまでも嘘のまま唄って。 結局さ、君だけが僕に愛を突きつけていたんだ。 あぁ、ロックスター。君が嘘をつき続ければ、 大体退屈な彼女はずっと生きてゆける。 だからお願いだ、ロックスター。いつまでも嘘のまま唄って。 「とっくにお前はさ、僕にとっての奇跡なんだ。」って 結局、君だけが僕にとっての奇跡だったって。 あぁ、ロックスター。 #マーカル伴奏

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