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サマータイムレコード
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活動記録:No.12 活動『とある夏の超常現象研究部』 1年生 🎀永瀬彩夢 https://nana-music.com/users/1747142 🪻望月おうち https://nana-music.com/users/1623286 ☁️月白燈 https://nana-music.com/users/10629267 🎈徊灯名夏向 https://nana-music.com/users/10379355 2年生 🫖花影菜結巳 https://nana-music.com/users/8035178 🍙鬼村嵐歩 https://nana-music.com/users/9733047 📷椿紫麻 https://nana-music.com/users/10270354 🕯白京香 https://nana-music.com/users/8574647 3年生 📚須夜崎いろは https://nana-music.com/users/4246736 🍀雪代翠 https://nana-music.com/users/7125197 🍊橘右近 https://nana-music.com/users/10630552 🧸小鳥遊憂 https://nana-music.com/users/5026178 🍊痛いくらいに現実は足早に駆け抜けた 🧸選んだ今日は平凡で崩れそうになる日々さ 🍀昨日の今日も延長戦大人だって臆病だ 📚今になってなんとなく気付けたみたいだよ 🕯️廻るセカイのイデア  📷枯れる太陽炎天下 🫖陽炎が揺らいだ 🍙「忘れないで、さぁ、進もう」 🎈もどかしさに何度でも  🎀明日を夢に見ていた 🪻戻らない、先のある世界へ  ☁️「僕たちで変えよう」 🧸🍀「思い出して、終わったって秘密基地も、冒険も」 🕯️📷あの日に迷い込んだ話の事も ☁️🎈独りぼっちが集まった 🍊🍙子供たちの作戦が 🫖🪻また今日も廻り出した  📚🎀「また、何処どこかで。」 ☀️「涼しいね」って言い合った夏空は透明だ 泣かない様に、吸い込んで  「さようなら」しよう 秘密基地に集まって笑い合った夏の日に 「また何処かで思い出して出逢えるかな」って ☀️何度でも描こう サマータイムレコード https://youtu.be/qB4xRKllyeI?si=JFq2ciPdFdEPoSLn 🎈「……あつ〜……」 部室の窓の外には、真夏の空が果てしなく広がっていた。白く滲む陽射しは、見ているだけで肌に汗がにじむような錯覚を与える。実際は、エアコンが緩く効いた室内でそれほど暑くもないのだが、思わず口からこぼれた言葉だった。 今日は超常現象研究部の活動日。 昼下がりの部室には、扇風機の回る音と、二人の先輩のゆるやかな会話だけが漂っていた。ほかの部員たちは皆、それぞれの“ミッション”を抱えて校内や外へと散っている。 📷「……でね、その『七不思議』のひとつが“音楽室の鳴る床”なんだって」 🕯「鳴る床?」 京香が首をかしげる。 夏向は机に広げたままの夏休みの課題を前に、自然と耳をそばだてていた。課題はほとんど進んでいない。もともと同じ進捗具合であろう彩夢と一緒にやるつもりだったが、彩夢は“りおちゃん”のリアリティを高める企画とやらで、先輩の鬼村嵐歩や同級生たちとどこかへ出かけてしまっている。しかも課題も夏向より進んでいた。須夜崎いろはの家に入り浸りある程度進めていたらしく、夏向からすれば裏切りの誤算であった。 📷「誰もいないはずなのに、ぎぃ…って、ゆっくり歩く足音が響くの。」 🕯「へぇ……録音したら面白そう。澄瀬先輩にいい機材借りてくる?」 📷「これでもある程度いけると思うよ」 紫麻がカメラケースを指先で軽く叩く。その小さな音が、部室に不思議と響いた。 🕯「音楽室なのに鳴るのは床、なんだねぇ」 📷「もっと色々鳴らせるものありそうなのにね」 聞くともなく聞いていた夏向は、課題の片隅に描きかけていた落書きのペン先を止めた。 “水面を渡る話”や“りおちゃん”の調査も、きっと面白いのだろう。けれど今日は、どうにも気が乗らない。 🎈(……七不思議、かぁ。) 京香たちの会話が、耳の奥で静かに残響する。 外の蝉の声が、じわりと遠のいた気がした。 夏向は椅子から立ち上がり、背筋を伸ばす。引扉の取っ手に手をかけると、真昼の熱をわずかに吸いこんだ金属が、指先をぬるく包んだ。 ___せっかくだし、校舎を回ってみよう。 何か、見つかるかもしれない。 * 音楽室へ向かう途中、夏向は昇降口脇の階段で足を止めた。中段に腰を下ろす三人が、昼下がりの光に縁取られて見える。 🧸「あ、かなちゃん」 憂が手をひらひらと振る。横では右近が烏龍茶のペットボトルを傾け、喉を鳴らしている。いろはは膝に広げたノートへ、細いペン先でさらさらと何かを書き込んでいた。 🎈「こんなところで何をしてたんですか?」 夏向が問いかけると、右近が肩をすくめた。 🍊「体育館裏の井戸跡、見に行ってたんだよ。だけど暑すぎてさ…とりあえず休憩」 📚「ふ、古い記録と照らし合わせてたんですけど……現地のほうがずっと分かることが多くて……」 いろははノートを閉じ、若草色のハンカチで額の汗を拭う。見兼ねた右近が、言葉もなくペットボトルを差し出した。 🧸「でも日差し強すぎて、続きは夕方にしよってことになったの」 憂は階段の影を指さし、そこが涼しいと笑う。 夏向は一歩上がり、手すり越しに三人の様子を眺めた。額の汗や、少し埃っぽいシャツ。部活の調査中というより、夏の途中経過を切り取ったスナップ写真のようだった。階段を吹き抜ける風が、汗の粒をひとつふたつ運んでいく。 🍊「徊灯名ちゃんもこっちおいで。あと少しでペットボトルの氷、全部溶けそう」 🧸「もうあんまり冷たいの残ってないね」 📚「……凍ったのを5本も持って行ったのに、外暑すぎますよね……」 🧸「ほら、これ甘いやつだからね」 からかうように笑う三人に、夏向は少しだけ迷った。音楽室のほうからは、誰かが弾くピアノの音がかすかに響いてくる。行くべきか、座るべきか__足が階段の途中で止まったまま、風の涼しさに意識が溶けていく。 🎈「……じゃあ、ちょっとだけ」 夏向はそう言って階段を降り、影の中に腰を下ろした。ペットボトルが手渡され、指先にひんやりとした感触が残る。 🍊「あと1本になっちゃったな」 📚「補充……購買まで行きます?」 🧸「このままじゃ夕方までに干からびちゃうよ」 🎈「購買って凍ったペットボトル売ってるんですね〜」 🍊「売ってたっけ?」 🧸「ないかも。」 📚「え?じゃあこの5本のペットボトルはどこから………?」 🍊「外の調査に行くことを昨夜伝えたら、部長さんがくれたんだよね。」 🎈「え、わざわざ凍らせて5本も…!?」 🧸「ミカちゃん、お母さんみたい」 ふざけ合う声に混じって、遠くのピアノの音が一瞬だけ強くなる。 音楽室の窓が開いたのだろう。 風が通り、埃の匂いと、ほんの少しの音の粒を運んでくる。 夏向はペットボトルを唇に当て、溶けかけた甘い水を口に含んだ。 舌の上で氷がかすかに砕け、喉を伝って落ちていく。 🎈「……夕方になったら、また行くんですか?」 🍊「もちろん。日が傾いたら井戸のあった場所の奥まで見てみよう」 📚「……噂には、夕方になると“何かが立っている”って……」 🧸「こわ。でも、ちょっと楽しみ」 笑い声と真顔が入り混じるその空気は、夏の暑さよりもずっと濃かった。階段の影で過ごす時間が、夕方への助走のように静かに流れていく。 * 🎈「……じゃあ、後で合流しようかな?」 🍊「お、是非。」 🧸「どこか行くの?」 🎈「音楽室に行こうかと思いまして…」 🧸「そっか。じゃあまたあとでね」 🎈「はーい!」 そう言って階段を降り、校舎の反対側へ回る。音楽室へ行こうとしたが、ふと中庭へ続く道が目に入り、方向転換をした。 グラウンドを抜けた先の中庭では、ビニールシートや板切れ、ロープが雑多に並べられていて、妙に水音が響いていた。 🎈(向こうって確か、立ち入り禁止の池があったような…?立ち入り禁止の割には、すごい人の声するけど…) 好奇心に引かれて角を曲がると、そこには先程話にでてきた部長の片桐ミカと先輩である雪代翠、花影菜結巳、鬼村嵐歩が集まっていた。置いてあるカバンやペンケースを見るに、もう数人いたような雰囲気を感じる。 🫖「あれっ、夏向ちゃん!」 🐈‍⬛「こんにちは。」 🍀「こんなところまでどうしたの?」 🍙「かなかなも遊びに来た感じ!?」 🎈「それはこちらのセリフと言いますか、立ち入り禁止の溜池の方から声が聞こえたので気になっちゃって」 夏向は少し戸惑いながらも、足を止めて尋ねた。 バケツに入った透明なゲル状の液体と、足場に置かれたビニールシート。太陽に照らされて、表面がキラキラと光っている。 🎈「……あの、これ、どういう実験なんですか?」 🫖「水の上を歩く実験をしてるんだあ。」 🐈‍⬛「一定の振動を水面に与えて、沈まずに歩けるかどうか試していました。」 🍀「で、上手くいかず失敗して落ちたから乾かしてたとこ!」 🎈「なるほど…?」 確かに、よくよく見ると翠と嵐歩はびしょ濡れである。制服のシャツがぺたりと体に張り付いていた。 夏向は苦笑いをしながら、バケツを指さした。 🎈「これは?」 🍀「スライム!」 🎈「え、スライム…?」 🫖「水の上は歩けないけどスライムの上なら歩けるよねって話になってね〜、さっきまで外で検証?をしてた嵐歩ちゃんたちが大量に持ってきてくれたんだあ。」 🍙「しかも手作り、これ」 🎈「手作り!?」 🐈‍⬛「徊灯名さんもどうぞ」 🎈「じゃあ、ちょっとだけ…」 🫖「もちろん!失敗しても大丈夫だし、楽しいよ〜!」 🍀「さあ、靴脱いで!」 🍙「一緒に行くぞー!」 🐈‍⬛「せっかくなので記録用に写真も撮りますね」 夏向はゆっくり靴を脱ぎ、ビニールシートの手前に立った。既に裸足の嵐歩が横に並び立つ。翠が豪快にバケツの中身をひっくり返した。 足を一歩踏み出すと___びしゃっ、と液状のスライムが跳ねる。 🎈「うわっ、冷たい……でも、なんだか面白いです!」 🍙「うひゃー!スライムやばい、めっちゃ気持ちいい」 🫖「私も入ろっと!」 🍀「夏向ちゃん、腕を上げてポーズ取って!」 🐈‍⬛「思ったより水っぽいですね」 濡れた足跡がキラキラと光る。 夏向は少しずつ、恐る恐る、でも楽しそうに歩を進めた。 * 夏向は水の上を歩く実験…もとい、スライム遊びを終え、少し濡れた足をタオルで拭きながら部室へ戻った。廊下を歩くたびに、まだ太陽の熱が残る床が心地よく温かい。 🎀「あ、おかえり〜」 彩夢が片手を振って明るく声をかける。手にはカラフルなマシュマロを持っていて、夏向の帰りを待っていたようだ。 🎀「スライムで遊んできたでしょ、どうだった?」 🎈「あれっ、知ってたんだ。」 🪻「私たちも一緒に作ったんだ〜。」 ☁️「外でつくったんですけど、それでばてちゃって。休憩中です〜…。」 珍しく机に突っ伏した燈に、彩夢はケラケラ笑った。 🎀「暑いからしょーがないよ」 🪻「飲み物、いる?」 🎈「もらおうかなぁ。先輩にも貰ったんだけどもう温いや」 ☁️「どうぞ〜。さっきスライムの材料買うときに買ったのでいっぱいあります」 🎈「ありがとう〜。スライム楽しかったよ」 🎀「いいなー!後で行きたい!蒸発しちゃわないかな?」 🪻「スライムって蒸発するのかなぁ?」 ☁️「干からびちゃう、かも?」 🎀「そしたららんちゃん先輩とまた作ろっと」 🎈「スライムってどうやって作るの?」 🪻「結構簡単だったよぉ。でも大変だった」 ☁️「今度は室内で作りましょうね、ぜったい…」 夏向は肩を軽く震わせながら笑う。胸の中には、今日一日の冒険の余韻と達成感がふわりと広がっていた。 部室に差し込む午後の光が、窓辺の資料や机の上の道具をやわらかく照らす。 笑い声と話し声が混ざり合い、今日一日の小さな冒険を優しく包み込んでいた。 夏向は燈の横に腰を下ろし、ふっと息をつく。 こんな楽しい日が、ずっと続けばいいな___そう心の中で思いながら、彼女は今日の思い出をそっと胸にしまったのだった。 #超常現象研究部

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