🌻ひまわり畑

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📖Dear My Fairyland📖 第9話『花園』 　丁寧に手入れされた花壇の前で、美しいブロンドの髪が揺れていました。真っ白な指を土の上に重ねて、その少女──メアリーは唇を噛んで俯きます。花はどれも元気よく太陽の方を向いているというのに、メアリーだけが萎れた花弁のようにどんよりとした空気をまとっていました。 『どうせ貴方たちノーブルも、裏で私たちを馬鹿にして笑っているんでしょ』 　綺麗な花を見るたびに、メアリーの心は二つの気持ちに分かれます。ひとつは、ただ純粋に生きている花々を愛おしく思う気持ち。そしてもうひとつは、仲良くしたいのにすれ違ってしまったあの日の後悔でした。 「ノーブルだから、特待生だから。そんな肩書きでしか見てもらえないことを、あたし自身が何よりも嫌っていたはずなのに……」 　『物語クラブ』の皆の顔を思い出して、メアリーは苦しそうに目を伏せます。彼女たちのことをよく知りもしないのに、特待生というだけで遠ざけてしまったメアリーは、いつの間にか、あの日花壇を荒らしたあの子たちとおんなじになってしまいました。 「これは、あたしに与えられた罰ね。きっとセーラも愛想をつかしてる。今更謝ったってどうにもならないわ」 「それはどうかしら？」 　その時、強気な声がメアリーの頭上に降り注ぎました。メアリーが目を見張って顔を上げると、そこにはぴかぴか光るお星様のような瞳でこちらを見つめているエイミーがいました。エイミーはメアリーの隣にしゃがみこむと、土だらけのメアリーの手を掴み、何かを手のひらに置きました。それは、幾つもの花の種でした。 「一緒に植えましょう。そして、今度こそあたしたちの新しい花園を作るのよ。皆で一緒に！」 　種を置いたエイミーは、その手のひらを包み込むように優しく握ると、メアリーと一緒に立ち上がり道の向こうを指さしました。道の先には、『物語クラブ』のメンバーが勢揃いしています。 「ふふん、あたしたちは準備万端よ。さあメアリー、何かあたしたちに言うことはないかしら？」 「……今まで、本当にごめんなさい」 「本当よね！ あたしたち何も悪いことしてないのに！ ……ふふっ、でもあたしたちが本当に聞きたいのはそっちじゃないわ。メアリーは今、どうしたい？ これから先、どんなあなたになりたいの？」 　その時、メアリーの瞳に一筋の煌めきが宿りました。かつてノーブルと特待生の垣根を取り払おうとした心優しい少女の眼差しが、その目に戻ったのです。 「あたしは、あたしは皆と友達になりたいわ。それから、もう一度素敵な秘密基地を、」 　メアリーの言葉は、そこから形をなくしてしまいました。堪えきれずに泣き出してしまったからです。けれど、メアリーはもう大丈夫。涙を流したら駆け寄ってきてくれる仲間が、すぐ近くにいるのですから。 「花が毎年蘇るように、あたしたちだってやり直せるわ」 　エイミーがそう言った時、メアリーは涙を拭って、ようやく笑顔を見せてくれたのでした。 ꒰ঌ໒꒱ ::::::::: ꒰ঌ໒꒱ :::::::::: ꒰ঌ໒꒱ :::::::::: ꒰ঌ໒꒱ 『KAKUMEI』 🌐エイミー・マーチ(CV:オムライス) ️🔒メアリー・レノックス(CV:はいねこ) ️🔒汚れた空気の中で強く綺麗に咲いた花は 🌐雨がふっても明日になれば起き上がるでしょう ️🔒一人ぼっちだと思っていた 一輪の花にも今では 🌐守りたいものが溢れた ️🔒気が付いたらこんなにも増えていた 🌐両手には収まりきれないほどに 🌐️🔒光指す未来の扉ノックして 🌐色づく花びらのような 希望の明日に革命を ️🔒🌐光満ちる未来へ続く道 もう止まらない ️🔒って誓った声がここに響くさ ꒰ঌ໒꒱ ::::::::: ꒰ঌ໒꒱ :::::::::: ꒰ঌ໒꒱ :::::::::: ꒰ঌ໒꒱ 📖次回 最終話『未来の君に花束を』 7/27　20:00　公開 #Fairylandの世界 #SilentSiren #KAKUMEI