nana

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🎼 気付いたんだ棄てられてから僕ら 🎹 ─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙────── 🎼 Viva la Orquesta !! 🎹 第四幕『戦場にオーケストラは要らない』第二楽章 「へぇ、オーケストラを作るために旅を……すごいなぁ」  通された家の中、レクトールたちは安堵した表情で世間話を始めた。話によると、どうやらアルマとアドルフも楽器を嗜むことがあるらしい。部屋の隅に置かれたケースを照れくさそうに指さし、アルマははにかんだ。 「僕がトランペットで、アドルフさんはサクソフォンを持っているんです。でも、この地では、楽器は武器を作るための材料として見られています。先程の連中のように、楽器を奪って武器に変えようとする兵士たちも少なくありません。なので、大っぴらには吹けないんです」 「なんと、君たちも音楽を嗜んでいたんだな。 好きな時に好きなように吹けないのはさぞ辛いだろう。ぜひ僕たちのオーケストラに……」 「気持ちはありがたいのですが、それは出来ません」  不意に口を開いたのは、それまで黙って話を聞いていたアドルフだった。彼の厳しい視線を見て、にこやかだったアルマも途端に肩を落とす。 「そうだ。そうでした。……ごめんなさい、レクトールさん。僕たちは兵士の罪人。争いが終わるまでは、この場所に囚われたまま、ガスティア平野の外へは出ることが出来ないんです」  人を殺し英雄となった者の罪は、恐ろしく重いのだとアルマは言った。レクトールを助けてくれた親切な彼らは、その優しさをもってしてもなお消すことが出来ない重責を背負っていたのだった。  生前のアルマは普通の町に暮らす普通の少年だった。裕福ではないが貧乏でもない、刺激はないが平穏な暮らし。  けれど、アルマが15歳になる歳の夏、戦争が始まった。町の若者たちは皆兵士に志願することを求められ、当然アルマも戦地へ向かうこととなった。穏やかな日々を好む心優しいアルマには、戦地での暮らしは地獄のようだった。  けれど、それでも、そんなアルマでさえも、敵の兵士を撃ち続けて三ヶ月が経つ頃には、殺人に対して何の感情も抱かなくなっていた。素直で染まりやすかった彼は、周りの士気に溶け込むようにして、いつしか優しさを忘れてしまった。子どもがいるんだ、見逃してくれと懇願する敵兵の脳天に、何の躊躇いもなく穴を開けた。そうすると、味方の軍曹はまるで父親のようにアルマを褒めてくれて、もう何が正しいのか、何が誇りなのか、分からなくなっていた。  だがある日、アルマは思い出してしまった。それは、自分と同い歳くらいの敵兵二人を捕らえ、処刑しようとした矢先だった。敵兵の一人が、もう一人に俺を殺せと懇願した。敵に殺されるくらいなら、最後は親友のお前の手で死にたいと言った。もう一人の敵兵は、頷くと唇を噛み締めて仲間を撃った。そして、アルマを振り返り泣きそうな顔で笑うと、自らの額にも銃口を当て、その場で死に絶えた。  衝撃だった。人が化け物になる戦地の中で、彼ら二人だけが、人間のまま死んでいった。アルマはその日から、敵兵を撃つのを辞めた。どうせ死にゆく世界なら、最後は人としての自分を忘れずに死にたい。弾丸が飛び交う戦場の中、アルマはただ一人、武器を放棄して歩き続けた。足に、肩に、目に、降り注ぐ弾丸が幾つもその身を貫いた時、アルマはようやく苦しみから解放されたのだった。  気がつくと、アルマはガスティア平野の中央にいた。呻き声を上げながら起き上がった彼に、誰かが手を差し伸べてくれた。反射的にその手を掴み、顔を上げたアルマは、そこで驚いて言葉を失った。  アルマを助けてくれたのは、黒髪に眼鏡をかけた青年。あの日、仲間を殺しアルマの前で微笑みながら命を絶った敵兵だった。 「どうして……」  僕は君を捕らえたのに。敵同士だったのに。なぜ君は僕を助けてくれるのか。言葉にならない呻きの中に、そんな思いを滲ませて、アルマは彼を見る。すると彼は、あの時のように寂しそうに微笑み、ゆっくりと口を開いた。 「君と僕は同じだから。たまたま生まれた場所が敵国同士だっただけ。今はもう敵じゃないでしょ。……ここが何処だか見当もつかないけど、少なくとも、今の僕らは助け合えるよ」  青年はそのまま、続けて言った。 「僕の名前はアドルフ。君は?」 「それからずっと、僕のアドルフさんはこの平野で一緒に暮らしています。いつか争いが終わったら、アドルフさんの親友を探しに行こうって約束をして。でも、この場所で戦争が絶えたことはただの一度もないんです」  アルマは小さく縮こまり、眉を寄せてため息を吐いた。レクトールは静かに話を聞いていたが、やがて勢いよく立ち上がると、アルマとアドルフに向かって声を張り上げる。 「それじゃあ僕が戦いを終わらせてあげよう! そうしたら共に着いてきてくれるな?」 「そ、そんな簡単に言いますけど、一体どうやって……」 「それこそ音楽の出番だろう!」  怖気付くアルマの声を遮って、レクトールは陽気に指揮棒を振っている。ぽかんと口を開けて彼を見ている二人に対して、マッチは腕を組んで諭すように呟いた。 「こうなったらお兄さん止まんないからねー。観念して言うこと聞いてみたら? 案外いいもの見れるかもしれないよ」  私たちみたいにね、とウインクをするマッチ。二人はまだ半信半疑といった様子で顔を見合せ、けれどもゆっくりと立ち上がった。 「争いの主戦場は何処だ?」 「この家からずっと南に行ったところです。『聖女カトリーヌ』の勢力と『魔女マリー』の勢力が一番酷い争いを繰り広げています」 「そうか! 何だかよく分からないが、どちらも美しい名前だな!」  そう言うと、レクトールは声を上げて笑った。全くの向こう見ずで、見ているこちらがハラハラしてしまいそうな彼だったが、自然と二人の足が止まることはなかった。アルマとアドルフが外で楽器を持ったのは、実に久しぶりのことだった。 ─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙────── (ひとつ、哀れな少年の身の上話をさせてください) (昔昔ある所に、それはそれは仲の良い2人の少年がおりました) 気付いたんだ棄てられてから僕ら 終いなんだ帰路はない純然バター 痛い痛いも知覚する前にお釈迦 捧げられた供物の代わりの僕ら らしくないよね 気付いたんだ棄てられてから私 (黒髪の少年は背の低い少年が大好きでした) これしかないって黒魔女の海賊コピー (彼のいうことなら何でも聞いていました) 食わなければ餌になるだけの話 (例えばそう、盗みや人殺しなんかも) くたばればさ後には何も残らんし 扉の奥に (一体何が、黒髪の少年の心を駆り立てていたのでしょう) 鬼さんこちら手の鳴る方へ (今となってはよく分かりません) 鬼さんこちら手の鳴る方へ (もう何百年も前の話です) 鬼さんこちら手の鳴る方へ 鬼さんこちらへ通りゃんせ (ただ僕は、未だ彼に心酔している) ─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙────── 👓アドルフ(cv:くらげ∞) Illust:日向ひなの ─────˙˚ 𓆩 ✞ 𓆪 ˚˙────── 〖PLAYLIST〗 vol.1 https://nana-music.com/playlists/4117492 vol.2 https://nana-music.com/playlists/4117493 #HEL_L_ETTER #LA_ORQUESTA #zensen #DevilsDevil

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