
『ある新聞記事の1部』
『ある新聞記事の1部』 人も獣も妖精も、悪魔や妖であったって、どんな種族も共存し合うことを法律とする我が国ではあるが、未だに一部種族が差別により迫害を受けることも少なくない。特に、会社が社員の採用時に種族による不当な差別行為をすることが近年問題視されている。 この記事を読んでいるあなたも、そんな経験をしているのではないだろうか。であれば、この記事に出逢えたあなたは幸運であると言えるだろう。 『ISTALANTIS』 この名を知るものも多いのではないだろうか。彼らはここ数十年の間に大成長を遂げており、この国の各地で様々なコンセプトの料理店を展開していっている。何故ここまで規模を拡大していけるのか。それは彼らだけが持つ特殊技術によるものと言えるだろう。 そこで作られる料理は、ISTALANTIS総支配人『アレクシーヌ ケレース』によって開発された『歌で料理を作る技術者』を用いて調理されており、歌に込められた感情やストーリーが織り込まれた特別な料理『スペシャリテ』を目当てに連日客足が絶えないとか……。 かくいう私も、彼らのスペシャリテに心を奪われた者の一人である。 そのISTALANTISが先日、新たなシェフを募るために求人募集を出したそう。 総支配人であるケレース氏はこう語る。 「年齢、性別、種族、国籍、その全てはISTALANTISにおいて無価値な指標にすぎません。わたくしが求めるのは、わたしくしのレシピを……スペシャリテを作るに足る実力を持つ者でございます。」 この記事を見ているあなた。そう、あなたです。これは大きなチャンス。種族のせいで正当な評価をされなかったあなた、己の才を発揮する適所を探し彷徨うあなた、ISTALANTISに心を奪われたあなた、是非一度求人を見てみてはいかがだろうか。 あなたの求める場所は、そこにあるかもしれない。
