なんでもないや
⭐️キキョウ(cv.???)/RADWIMPS/上白石萌音cover
10番目の私〜人格統合経過報告〜『9.なんでもないや』 ----------♡---------- ⭐️8番目-キキョウ 私が表の世界に出ていくと、いつも決まって熱を出す。だから外が好きではなかった。けれど今日は、ユメが消えてしまったことでシオンもアオイも酷く落ち込んでいた。だから私は二人の代わりに陽の光を浴びることにした。 時計の秒針の音だけが鳴る静かな部屋の中、布団から腕だけを出して窓辺から差し込む光に触れる。硝子を通した太陽光が、優しくじんわりと私の肌をあたためた。 「少し元気になってきたみたいだね、キキョウ」 「先生。……うん、熱も下がってきた」 看病の手間がかかるはずなのに、先生はどこか嬉しそうだった。そういえば、シオンも私の世話をする時、嫌な顔ひとつ見せていなかったな。 「先生」 「なぁに」 「先生は、私が出てきた時、大変じゃない? いつも体調を崩すから」 「そうだねえ。大変と言うより、心配かな。でも、こうして他の子よりたくさんお喋りが出来るから、私はキキョウが好きだよ」 「それ、皆にも同じこと言ってるでしょ」 「あ、バレた?」 こともなげにそう言って、先生はけらけらと笑った。先生のそんなところが、私も、皆も大好きだった。 「先生」 「今度は何?」 「シオンとアオイのこと、よろしくね」 どんな顔をしていいのか分からなかったから、布団を被ったままそうお願いした。先生はしばらく黙っていたけれど、私が耐えかねて顔を覗かせたタイミングで、しっかりと頷いてくれた。 「分かった。約束するよ」 自分がもう長くないことは分かっていた。ひ弱で滅多に表に出られない私は、元々主人格たる器では無かったのだろう。 「大丈夫、大丈夫よ。キキョウは消えないわ。さぁ、今日はもう眠りなさい」 シオンは、もう眠ってしまったアオイと私の頬を交互に撫でると、外の世界へ向かって歩いていく。私は、この人になら全てを明け渡せると、そう思った。 シオン。どうか、幼く純粋なアオイを守ってあげて。二人ならきっと支え合って生きていけるから。外の世界に行けば、先生だって助けてくれる。だから生きて、生きてほしい。 そして、あと少しだけわがままを言っても良いなら、時々私のことを、思い出してくれたら嬉しいな。 白い空間と同化して、身体が少しずつ解けていく感覚。薄らいでいく意識の向こうで、誰かが私を呼んでいるような気がした。 ----------♡---------- ⭐️キキョウ(cv.???) ----------♡---------- いつもは尖ってた 父の言葉が 今日は暖かく感じました 優しさも笑顔も夢の語り方も 知らなくて全部君を真似たよ もう少しだけでいい あと少しだけでいい もう少しだけでいいから もう少しだけでいい あと少しだけでいい もう少しだけ くっついていようか 僕らタイムフライヤー 時を駆け上がるクライマー 時のかくれんぼ はぐれっこはもう嫌なんだ 嬉しくて泣くのは 悲しくて笑うのは 君の心が 君を追い越したんだよ ----------♡---------- サムネイル:ぴざめーかー 様 https://picrew.me/ja/image_maker/1469896 #10番目の私 #なんでもないや #RADWIMPS #上白石萌音