ドリームレス・ドリームス
🦄ユメ(cv.???)/はるまきごはん
10番目の私〜人格統合経過報告〜『8.ドリームレス・ドリームス』 ----------♡---------- 🦄7番目-ユメ 胸騒ぎがして、マオの部屋の扉を開けようとした途端、一瞬にして扉は姿を消した。息を飲む私の目の前で、血が滲むように✕印が現れる。マオは、私を置いていなくなってしまった。 その事実を脳が認識した瞬間、私はフッと意識を失ってその場に倒れ込んだ。 目を覚ました時、私の傍には『9番目』シオンがいた。彼女は私たちの中でもとりわけ大人びていて、何となく、皆のお母さんのような存在だった。普段は、病弱な『8番目』キキョウや、あどけない10番目『アオイ』と一緒にいることが多いけれど、今日は私を心配してずっとここに居てくれたみたいだ。 「……ありがとう。でも、もう平気だから」 「本当? あなたにとって、マオは大切な人だったでしょう?」 「大切だけど、それは皆も同じだよ」 マオの部屋の前に✕印を見た時、どうしてショックを受けたのか分からなかった。ジュンもルナも、先にいなくなってしまった子たちだって皆、私の大切な分身であることに変わりはない。それなのに、どうしてマオがいなくなった今、酷く喪失感を覚えるのだろう。自分自身の感情すらあやふやになっていく私の頭を、シオンは少し寂しそうに撫でてくれた。 「やっぱり、あなたにとってマオは特別だったのよ。……私にとって、あの子がそうであるように」 「……シオンにも、特別な人がいるの?」 問いかけると、シオンは少し困ったように眉を下げて、もう一度私の髪に触れた。 「最近思うのよ。私たちは、本当に同じ人間なのかしら。ジュンが残した言葉が、ずっと引っかかっているの。私たち、何かを忘れているような気がする」 どこか遠くを睨みながら、シオンは淡々と言い放った。その声を聞いていると、なんだか無性に眠たくなってきた。泣き疲れた後のような、どっと疲労感が襲ってくるあの感覚。もしかして、マオがいなくなってから、私の心はずっと泣いていたのかもしれない。 「おやすみなさい、ユメ。……あとのことは任せて」 その言葉を最後に、私の世界から音が消えた。 いつの間にか、足元がふわふわとした不安定な空間の中を一心不乱に走っていた。視線の先はるか遠くには、マオの背中が見える。早く追いついて、彼女に伝えたかった。 私も、あなたのことを愛していると。 ----------♡---------- 🦄ユメ(cv.???) ----------♡---------- 教室の廃材が宙に浮かぶ やっぱどうしたって嫌なもんは嫌なんだろうなきっと ひとりぼっちを選べない私の 馬鹿げたモノローグ 不幸自慢して良いですか 最後までちゃんと聞いてますか なんでもう誰も居なくなったら意味が無いんですか 夢の続きを知りたいのかい? 夢の終わりが知りたくないのは あなたの望む世界じゃないから こんな続きを愛して欲しい ----------♡---------- サムネイル:ぴざめーかー 様 https://picrew.me/ja/image_maker/1469896 #10番目の私 #ドリームレスドリームス #はるまきごはん