nana

4
0
コメント数0
0

🕷はキャラシ上は記憶がないことになってますが、本当はそれなりに記憶があります。本人は単に詮索されたくないので記憶が無いフリをしていますが。でもときどきボロが出て昔の思い出をポロッと口にすることがあります。 🕷はRESONANCEの舞台となっている退廃都市よりも北にある雪国で生まれました。一般家庭に生まれ、幼少期は特に不自由のない平凡な暮らしをしていました。しかし、中学校に進学した頃に同級生に勧められて軽い気持ちで違法薬物を使用。一過性の快感とその後の苦痛の輪にはまり、気づけば学校にも行かずに裏路地で薬を売る生活をしていました。薬の影響か、この頃のことは今でも本当に思い出せず、朧げな記憶しかないようです。 ついには麻薬の類いだけでなく、筋弛緩剤や毒薬などどうみても犯罪に使われるようなものまで仕入れて売るようになりました。それらを買ってくれるのは羽振りの良いマフィアたちだったため、🕷はマフィアたちが集まる退廃都市へ移り住みました。 退廃都市での商売も軌道にのった頃、いつものように大通りから一本入った細い路地の片隅でこっそり商売をしていると、一人の青年に声をかけられました。いかにも良い家で生まれ育ったであろうことが容姿や仕草から窺える青年でした。裏社会には縁もなさそうな、雲の上の“綺麗な”世界にいるような人が何を欲しがるのか。🕷はその青年に興味を持ちました。 青年は食品に混ぜるのに適した毒薬を欲していました。しかし同時に、それを使うことに迷いを見せていました。🕷はほぼ無味無臭の毒薬を彼のために仕入れて手渡そうとしますが、彼は浮かない顔でなかなかそれを受け取らないのでした。やっぱり今日はやめておく、持って帰ってほしいと何度も断られました。 その代わりにと、青年は🕷に勉強を教えてくれました。🕷は青年にさまざまなことを教わり、知識欲を満たす喜びを知りました。青年は🕷がみるみる知識を修得していくことを喜び、また🕷の将来を心配して学校に行くように勧めました。学校に行くことは気乗りしませんでしたが、こんな自分に優しく笑いかけてくれる青年のことを🕷は慕っていました。 ある日、青年は青白い顔で現れました。青年がどうせ受け取らないとはわかっていても、🕷は毒薬の入った紙袋を差し出しました。その紙袋を青年が受け取らずに突っ返してくるところまでのやり取りが毎回の挨拶代わりになっていたからです。しかし、その日の青年は毒薬を受け取り寂しそうに笑いました。 …それを何の為に使うのか。 🕷は興味本位で恐る恐る青年に訊ねました。青年は急に冷ややかな視線で🕷を一瞥し、口角を上げて答えました。 「○×△☆♯♭●□▲★※」 その表情と言葉が衝撃すぎて、🕷はただ目を見開いて青年を見つめることしかできませんでした。青年は全てを捨て去って自由になろうとしていることだけ、それだけが唯一頭で理解できましたが、心は混沌としていました。 その日を境に青年は姿を見せなくなりました。🕷は商売を続けつつ、定時制の高校に通うようになりました。 しばらくして、かの青年が警察に捕まったことを🕷は風の噂で知りました。ああ、あの薬を本当に使ってしまったのか。🕷の心は、青年を憐れむような、青年に裏切られたような、しかしどこか安堵のような、なんとも言葉にしがたい気持ちでいっぱいでした。 彼が警察に捕まったということは、毒薬の入手経路が調査される。そうなれば自分も警察に捕まってしまう。頭ではわかっていましたが、そんなことはもう🕷にとっては取るに足らない些細なことなのでした。

partnerパートナー広告
UTAO
0コメント
ロード中