
レジェンドアイドル編 エピローグ
Twinkler+Twinsのパフォーマンスは大成功し、国中のみならず世界でも話題に上がるほどとなった。 彼女たちの頑張りが評価され、周知されていっている事実に、Twinkler+Twinsのマネージャーはほっと安堵のため息をついた。 もしあのとき、Twinkler+Twinsが解散するまで追い詰められてしまっていたら、こんな輝かしい称号を得る未来はなかったのだ。 🔖「本当に、よかった。ありがとう、みんな」 そう小さく呟いた途端、彼女のスマホの通知音が鳴り、画面に通知内容を映し出した。 🔖「あら…ふふ」 通知はミレイからのメッセージで、楽しそうに笑い合うメンバーたちの写真とともに、レジェンドアイドル称号授与記念の打ち上げにミアも来ないか、という内容が記されていた。 一瞬溜まっている仕事が頭をよぎったが、すべて明日に託そうと即決し、参加する旨を返信した。 🔖「今日ぐらい、いいわよね」 ミアは上機嫌で荷物をまとめ、メンバーの元に向かおうとした_____そのとき。 さきほどまで見ていたノートパソコンが明滅を繰り返しているのを見た。 🔖「えっ、な、なに…!?」 ノートパソコンの画面には、なんとなく"ここでもTwinkler+Twinsについて発信しなければいけない"と感じてほぼ毎月動かしていたサイトが映し出されており、"通信が不安定です"という警告表示が何度も繰り返されていた。 🔖「このサイト、このノートパソコンでしか開けなくて不思議に思ってたけど…、やっぱり変な感じがする…。なんか、ここの世界のものじゃないみたいな…?で、でももしこれで二度と繋がらなかったらまずいし、急いで発信しておかなきゃ…!!」 目の前で起きている摩訶不思議なことに驚く気持ちはあれど、なぜだか頭はスッキリしていて、やるべきであろうことが浮かんでいた。 ミアが素早く伝えたい文字を打ち込み終えると、"通信が遮断されました"という表示に変わり、読み込み中を示すマークがぐるぐると動き出してはエラーになってという流れを繰り返すようになった。 🔖「…もしかして、本当にこの世界じゃない、異世界のものだったりして。…仮にそうだとして、彼女たちを応援してくださったり、彼女たちに寄り添ってくれたりした人がいたなら…感謝を伝えられてよかった」 ミアは微笑むと、再度来た連絡にはっと我に返り、今度こそ荷物を全てまとめて関係者用の部屋を後にした。 Twinkler+Twins レジェンドアイドル編 完 ☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩ ☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩ 【異世界の大罪人・××】 ____??? 「これ以上はわしの力を持ってしても、厳しい」 「じゅうぶんです…本当に、よかった…」 鬱蒼と生い茂る森に建つ小屋の中で、ローブを目深に被った老婆と、短いローブを身につけた若い女性が、眩く光る水晶玉を覗きこんでいた。 その水晶玉には、王冠をつけた2人ずつ顔の似た少女たちが映っており、それぞれが輝かしい笑みを浮かべていた。 はっきりと見えていたはずのその姿は徐々にぼやけていき、ゆっくりと光を失っていく。 やがて完全に光を失うと、水晶玉は粉々に砕け散った。 「やはり、別の世界を見るというのは、負担がかかるものだな。おおよそ1年半が限界か」 老婆は掠れた声でそう言うと、指を鳴らして一瞬で水晶玉の破片を片付けた。 魔法がないはずの世界で魔法を使った彼女の周りには、色濃く強い魔力が漂っている。 「…あの、師匠。さまざまな異世界を覗ける貴重な水晶玉だったのに、本当に私なんかのために使ってよかったんですか?私は、禁忌を犯した大罪人なのに……」 そう言って顔を上げた若い女性の顔は、Twinkler+Twinsの敏腕マネージャーであるミアにそっくりであった。 師匠と呼ばれた老婆は、不安そうな表情をしている彼女を鋭く睨むと、息を吐いた。 「馬鹿者。その原因をつくってしまったのがわしだからに決まっておろう。わしがあの魔法を創り上げなければ、お前がここに来ることはなかったのだからな。…それにお前は、たとえあの世界では大罪人でも、この世界ではわしの弟子だ」 「師匠…」 ミアたちの生きる世界で忘れ去られてしまったミアの実の妹のユアは、困ったように眉を下げると、小さく微笑んだ。 「ありがとう、ございます」 ____ユアは、Twinkler+Twinsのメンバーを見送った後、しばらく森のなかを彷徨っていた。 当初の目的は果たしてしまったし、自らも元の世界に帰ることはできない。 これからどうしようかと迷っていた彼女を拾ったのは、あの禁忌の魔法を創り出した張本人であった。 ユアの纏う魔力から、自分が創った魔法を使ったのだとすぐに分かった老婆は、彼女を弟子として匿い、事情を話させた。 その後、老婆は罪滅ぼしも兼ねて、大切にしまっていた異世界を覗ける水晶玉を使い、ユアとともにTwinkler+Twinsの華々しい活躍を追っていた。 しかし、もう限界が来てしまったようで、先ほど水晶玉はガラスの破片と化してしまった。 「…っ」 ユアは泣きそうな顔を隠すために俯き、強く拳を握った。 そんなユアにすぐに気がついた老婆は、またしても彼女を睨みつけた。 「泣いてもこれ以上は見られんぞ。…それともなんだ、これからどうしたらいいかとか考えてるのか?」 びくっと肩を震わせたユアに、老婆の目に呆れの色が混じった。 「べつに、いままで通りここにおればいいだろう。…お前のおかげであの子たちは輝きの人生を歩めているんだ、ありがたがられることはあっても、責められることはない」 老婆の飾らない言葉が心に強く沁みたのか、ユアは遂に涙を流しながら頷いた。 「これからも…、よろしくお願いします…!」 【異世界の滞在人・ユア】完 _____及びTwinkler+Twins本編 完結 ☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩ ☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩☪︎⋆˚。✩ 皆様こんばんは。Twinkler+Twins主催及びストーリーやイラスト等を担当いたしました琉伊と申します。当サウンドをもって、Twinkler+Twins本編完結、そしてTwinkler+Twinsは活動を終了いたします。2年間、ありがとうございました。 Twinkler+Twinsは、私がいま挑戦できそうなもの、そして私が大好きな要素を詰め込んだ企画でした。初めは私ひとりの構想から始まったミレイたちTwinkler+Twinsのアイドル人生は、素敵なお声を吹き込んでくださるキャストの皆様やストーリーやサウンドを読んだり聴いたりしてくださる方々のおかげで、とても輝かしいものとなりました。本当に感謝してもしきれません。 Twinkler+Twinsはこれにて活動終了となりますが、ふと思い出したときにストーリーを読んだり、サウンドを聴いたりしていただけますと幸いでございます。このエピローグの次に、サウンドをまとめたものを投稿いたしますので、ぜひそちらからご覧ください。 最後に、ミレイたちTwinkler+Twinsは、今後もこの世界とは異なる世界でアイドル人生を歩んでいきます。辛いこと、楽しいことなどいろいろな経験を積みながら、さらに成長を続けていくのでしょう。そんな彼女たちのことを、これからも応援していただけるととても嬉しく思います! 改めまして、2年間本当にありがとうございました!皆様に、そしてTwinkler+Twinsのアイドル人生に、さらなる輝きがあらんことを。 2023.8.20 Twinkler+Twins主催 琉伊
