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第7話「Twinkler+Twins」
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暑い日差しが照りつける7月末。 この日は、国で1番の大きさを誇る会場で、レジェンドアイドルに選ばれたアイドルの発表と、その象徴である小さな王冠の授与が行われる日であった。 会場自体には、最終候補に残ったアイドルと関係者、強い信頼関係を得られている限られた記者しか入ることが許されないため、会場の周囲には大量のメディアが発表のときを待ち構えている。 そんな外の喧騒が遮断された会場内には、厳かで緊張感のある空気が流れていた。 レジェンドアイドル候補となったアイドルはステージの上に並び、いつもはしゃいでいる印象のあるアイドルも含め、各々緊張した面持ちをしている。 長きに渡り受け継がれてきたこの称号は、アイドルにとってそれほど大きなものなのである。 しばらく沈黙が流れたのち、レジェンドアイドル審査委員長の硬い革靴の音が響いた。 彼はまるで儀式のように慎重な動きで壇上に上り、そこに置かれた小さな台の上に初代レジェンドアイドルの王冠を大切に置いた。 実際にこの王冠が選ばれたアイドルに授与されるわけではないのだが、初代レジェンドアイドルたっての希望で、その王冠は彼女の代わりに授与されるアイドルを見守る役目を果たしているのである。 背後に感じるもうすぐ式が始まる気配に、アイドルの顔がさらにこわばり、身体の震えを隠せない者たちも出始めた。 「____これより、レジェンドアイドルの称号を手に入れたアイドルを発表いたします」 彼が言葉を切ったタイミングでスポットライトが動き回り、アイドルを気まぐれに照らす。 アイドルたちにとっては長い時間が、他者にとっては短い時間が流れ、結果が告げられた。 「レジェンドアイドルの称号を手にしたのは…、Twinkler+Twins!」 いままで動き回っていたスポットライトが一気に彼女たちを照らした。 しばらく時が止まったかのように微動だにしなかった彼女たちだったが、少しずつその表情が喜色満面に変わっていった。 🌟「ありがとうございます…っ!」 嬉しさを噛み締めながら頭を下げた途端、会場内は拍手の波に呑まれた。 拍手の音を聞きながらゆっくりと壇上へ向かうと、Twinkler+Twinsのメンバーたちの頭上に王冠が授与された。 既に泣きそうになりながらも力を振り絞り、代表としてミレイがマイクの前に立った。 🛍️「この度、レジェンドアイドルの称号をいただきました、Twinkler+Twinsリーダーのミレイです。名誉な称号をいただけたこと、本当に嬉しく、また誇らしく思っております。メンバーと一緒に、さまざまなことを乗り越えてここまで来られて、本当によかったです…!これからもTwinkler+Twinsの応援を、よろしくお願いいたします」 涙ぐみながらのミレイの一言は、静かに、優しく会場に響き渡った。 * レジェンドアイドル称号授与式は滞りなく終了し、Twinkler+Twinsのメンバーたちは、衣装のまま楽屋で待機していた。 …というのも、レジェンドアイドルに選ばれたアイドルは、このあと国で1番のあのステージでパフォーマンスをすることができるのだ。 観客は入れないが、そのパフォーマンスの模様は全国で生放送され、どの地方でも観ることができる。 その事実を改めて認識したメンバーたちは、緊張で震え上がっていた。 🍮「ゼ、ゼンコク、ナマホウソウ…ナンダヨネ」 🍰「ミユちゃんすごいカタコトじゃん…そうだよ……」 ミユはロボットと化し、リカは震えながらもそんなミユに小さく笑い。 🐈「流石にあたしも緊張する〜〜フリ間違えたらどうしよう!!」 🐕「ちょっと!口に出したらもっと不安になっちゃうなって思ってたこと言わないでよ…!」 モモは不安をそのまま口にしてリリに怒られ。 💍「な、生放送…しかも全国ね、うん、オッケー、ぜんぜんだいじょぶ!!………じゃないよぉ」 🛍️「ああほらレイナ、泣いたらメイク崩れちゃうわよ…!ちゃんと隣に私もみんなもいるから、大丈夫、大丈夫」 レイナはほぼ半泣きで自分を奮い立たせようとして失敗し、ミレイに頭を優しく撫でられていた。 そんなふうに怖がっていても、本番というものは迫ってくるもので。 🔖「みなさん!そろそろステージに向かってください!」 🛍️「えっ!?は、はい!みんな立って!ステージ行くわよ…!!」 ミレイが不安そうな表情のメンバーを引き連れてステージ裏へ向かうと、先ほどの厳かな雰囲気から、Twinkler+Twinsにぴったりな可愛いステージに変わっていた。 それを見たメンバーたちの心が、ゆっくりと静まっていく。 🍮「…こんなに素敵なステージにしていただいたんだもん、後悔しないように楽しまないとダメだね」 🍰「うん…!観てくれる方々のためにも、全力で頑張ろう!」 🐕「そうだね!どうか、私たちを応援してくれる方々に届きますように…」 🐈「あたしたちのことをまだ知らない人たちにも観てもらいたいし、知ってもらいたいなぁ」 💍「みんなとなら最高の私たちを魅せられるし、知らない人にも知ってもらえる!!」 🛍️「ふふ、みんなその調子よ。自信を持って、私たちのパフォーマンスをお届けしましょう」 メンバーたちは全員で頷き合い、光り輝くステージへの道を、軽やかに駆け出した。 Next→Twinkler+Twins last sound

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