nana

夏と罰(上)(下)
2
0
コメント数0
0

(右)🕊千鶴 その日は、夏を嫌悪するには十分すぎる空だった 汚れのない青がどれほど憎らしかったか 理解など求めても無駄であろう 自分の存在はこの世界に1ミリ足りとも傷を残せず 生を受けたのも神の気まぐれ 対して、全てから祝福されている君は煌煌と 「夏、終わるの寂しいよな」 君の屈託のない笑顔が私の喉を一掴み 絞めるでもなく、ただただ罪悪感を植えつける 信頼も友情も塗り潰しうる劣等感と 私は共生し続けるのか (左)🪶一羽 うだるような夏が身体を侵食していく 君を攫った季節が舞い戻ってくる 空は彩濃く 置き去りにされた僕だけが この世界で風に揺れてそこに在った 君の飲み残しのような人生を 背負って生き続ける僕の身にもなれ 君が諦めてしまった世界で 一文にもならない懺悔を続けている 僕が手を離したあの一瞬を君は 僕に一生後悔させる気なんだね 思い出など何の意味もなさない 君の呪いのような寝顔の前では

0コメント
ロード中