55その2
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55その2
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⭐「その、壱くん……。……すまない。つい感情的になってしまって……」
⭐その後に、重い沈黙が流れる。お互いに口をつぐんでいた。
⭐そう言うと、親指をドアの方へ向ける。そこには、傷一つない扉があった。壁を破壊できる遥くんのことだ、へこみぐらいは出来ても良い筈なのに。ここが異常な空間だということを思い知らされる。
⭐過去に囚われ続けるな。いつも前向きに捉えてきたじゃないか。強く、強く居なければ。
⭐「そうだね……急いで、出る手立てを探そう。壱くんは、動けそうにもないよね。ここで休んでいて。」
⭐彼はポケットからハンカチを取り出し、口と鼻を抑え、座り込んだ。
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